著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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過去の仕事を思い返してみると、HSPで思いあたることがたくさんありました。
仕事をしていても、社内の雰囲気に影響されやすい、疲れやすい、ストレスから体調を崩しやすいなど。
そこで今回の記事はHSP的目線で見たいろんな仕事のメリット・デメリットを今までやった仕事を中心に分類・解説しました。特にHSPの方にはHSPを知り、その上でどんな仕事が向いているかイメージできたら嬉しいです。
厳密にはHSPだからというよりはHSPも含めていろんな角度から考えるのが適切です。
各職業との具体的な相性はHSPと仕事の適正で解説しています。
HSPとは?特徴と仕事のかかわりを解説
人口の15~20%を占め、ささいなことに敏感で、内的な経験を深く考える傾向があり、そのため必然的に外の出来事に圧倒されやすい神経システムを持って生まれた人のことです。
ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛
HSPを提唱した心理学者のエレイン・N・アーロン博士によると、HSPとは外からの刺激に敏感であったり、場合によっては外の出来事に消耗しやすい人とされてきました。
最近では日本でもHSPの研究が進み少しずつ認識も変化してきました。
HSP(Highly Sensitive Person)あるいはHSC(Highly Sensitive Child)とは、環境感受性がとくに高い人たちを表すラベルです。HSPは「生きづらさ」を表すラベルではなく、「良い環境と悪い環境から、良くも悪くも影響を受けやすい人」として理解されています。
Japan Sensitivity Research(環境感受性とは?)
今の研究においてはHSPは生きづらさなどの指標ではなく『環境に影響されやすい人』とされています。そのため、合う環境ではより力を発揮できますが、逆に合わない環境では悪い影響を受けやすいともいえます。
ちなみに現段階でHSPと仕事(適職)の研究はなく「HSPだから○○の仕事が向いている」などの表現は適切ではありません。
あくまでHSPだからというよりこの仕事は自分に合うかどうかで判断してください
こういう仕事はきつい可能性が高いかもしれない
以下に当てはまる職場や企業や絶対ではありませんが、要注意な確率が高いかもしれません。
体育会系の色が強い
ある程度上下関係があるのは問題ないですし、職場としても必要なことです。ただ上下関係が理不尽なレベルまで行くのは問題ですよね。
- 上司の言うことは絶対!
- 部下、若手をこき使う
とかですね。これが行き過ぎて『パワハラ』につながる場合もあります。
しょっちゅう誰かが怒られている
HSP気質の特徴で、『過剰同調性』というのがあります。
過剰同調性は自らの欲望や意見よりも相手の欲望や感情に関心を向け,他者に過剰に同調する性質であり
過剰同調性がネガティブ感情表出と本来感に与える影響―被受容感を媒介にして― 東京成徳大学臨床心理学研究,19号,2019,20-27
これにより自分と他人の壁が薄いため、他人の感情が自分の中に入りやすいと考えられます。
ポジティブな感情とかであればむしろ良いのですが、怒られているなどネガティブなことも入ってくるとなると精神衛生上良くありません。先述の体育会系の職場に多いパターンなので、やはり要注意ですね。
スピード重視の仕事
HSPの大きな特徴に『DOES』というのがあります。HSPのおおまかな行動の傾向に近いもので、
- 【D】深く処理する(Depth of processing)
- 【O】過剰に刺激を受けやすい(Overstimulation)
- 【E】全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い(Empathy and emotional resuponsiveness)
- 【S】些細な刺激を察知する(Sensitivity to subtleties)
の4つを総称したものです。この中の『深く処理する』の話で、仕事に限りませんが1つの物事に対して深く考え、じっくり掘り下げる傾向があります。
丁寧にやるともいえるので大事ですが、丁寧さよりもスピードを重視するような仕事(職場)だと力を発揮しにくかったり、評価もされにくいです。逆に言えば、スピードより丁寧さを重視する職場や仕事であれば、強みになって重宝されます。
HSPと仕事の適性
ここからは今までの話に加えて、転職経験のある僕が実際に見てきた(+友人などから聞いた)経験をもとにHSPに向いている、向いていない仕事を挙げています。以下の表は僕が経験したもしくは友人から聞いた範囲での各仕事の相性や所感などをまとめたものです。
仕事 | 相性 | 体力 | 雰囲気 | 収入 | 所感 |
---|---|---|---|---|---|
塾講師 | |||||
カウンセラー | |||||
ブロガー | |||||
内職 | |||||
飲食店 | |||||
事務 | |||||
農業法人 | |||||
ライター |
HSPに向いていると思われる仕事(必ずしもおすすめではない)
塾講師。意外と一人の時間はとれる
メリット
- 生徒と接するのは楽しい
- 成績が上がる、志望校合格など仕事のやりがいは見出しやすい
デメリット
- 長時間労働が当たり前
- ワンマン経営な会社が多い
塾によっては会社によって違いがより出そう。
過去に就活でいろんな塾を見てますけど、雰囲気は塾によってけっこう違います
カウンセラー。HSPの長所を生かせる
メリット
- HSPで使うような知識も活用しやすい
- 専門性が上がれば稼ぎやすくなる
デメリット
- 相談者の雰囲気にのまれないよう注意
- 公認心理師や臨床心理士などまともな資格は取得のハードルが高い
最近は○○カウンセラーという肩書をSNSでよく見ますが、カウンセラー自体は無資格でも名乗れます。
だからこそ専門の資格を取ったり、質を上げるのは必須ですね。
在宅でもできる仕事。ブロガー
メリット
- パソコンとネット環境があればすぐに始められる
- 家でもできるので一人でもできる
デメリット
- 目に見えて稼げるまでは時間がかかる
- 会社を辞めるなどしてブログ1本はかなりリスクがある
独立までいかなくても、副業としてはかなり手軽に始められる。
ブログで培ったマーケティングなどのスキルはライターや動画などほかの仕事でも応用できるのは大きいですね。
内職。年齢、スキルの制限がない
メリット
- 特別なスキルはなくても大丈夫
- 単純作業が多いが仕事そのものに難しさはない
デメリット
- 大きく稼ぐのは難しい
- 内職1本での生活はむずかしい
例えば僕が経験したのは「タバコの箱の組み立て」。ひたすら箱を組み立てる単純作業でしたが、内職だけで生活するのは難しいです。
数が膨大ですし、内職だけでやっていこうとするとかなりの時間を要します。メインの仕事が別にあって、合間に内職をやるスタンスの方が負担もストレスも少ないです。
HSPに向いていないと思われる仕事
飲食業。刺激がいっぱい
メリット
- 求人数は割と多い
- 合う人にはかなり合う
デメリット
- スピード感を求められる
(のんびりできるような要素はない) - 気性の荒い人が多い
個人的には某ファミレスでのバイトが地獄でいまだにトラウマです。
就職や転職も飲食業界は徹底的に避けていました。
事務。マルチタスクがきつい
メリット
- 収入や福利厚生など案敵的な要素が多い
- ルーティン的な作業が多いのでコツさえつかめば長続きしやすい
デメリット
- 電話、来客、経理などマルチタスクの要素が大きい
- 同じ部署の人など人間関係で神経をすり減らすことが意外と多い
意外と事務は大変です。
人とかかわる機会もイメージよりははるかに多いため、世間一般のイメージと実情のギャップが最も大きい仕事の一つです。
農業。体質が古い会社が多い
メリット
- 人手不足のため求人自体は多い
- 自然とかかわるのが好きな人にとっては楽しい
デメリット
- 力仕事が多く、かなりたいりょくをつかう
- 体質が古くハラスメントが多い
実際に農業に転職してパワハラを受けました。
県内でも大手に近い部類でこれなので、業界自体がハラスメントが常態化していると考えていいです。
ライター。ノルマなど意外と厳しい
メリット
- パソコン、ネット環境など始めるハードルは低い
- クラウドソーシングサービスなどオンラインで仕事を取ってくることもできる
デメリット
- ライターで食べていけるくらい稼げるのはほんの一握り
- 締め切りに追われる、クライアントからのフィードバック(ダメ出し)など神経をすり減らす場面も多々ある
ライターはかなり人気がある印象ですが、人気とは裏腹にかなり大変な仕事です。
僕も4年ライターをやっていますが、安易に人に勧めることはできないくらいで、事務と同じく世間一般とのイメージのギャップはかなりありますね。
仕事や働き方の選択に正解はない
違和感から目を背けない
就職活動、転職活動の面接で、会社にたいしてちょっとした違和感を持つこともあります。例えば面接をしているときに、
あれ?この人、僕のこと見下してる?
と面接官に思うこともありました。僕の場合、「ゆとり世代」でもあったので、面接でゆとり世代をバカにするような発言もありました。この辺は、面接で社員の本性も少しながら垣間見えますし、違和感を感じることもあります。
実際に入社してからそれが的中したので、違和感も意外とバカにできないのです。
必ずしも会社員に固執する必要はない
そして今は正社員はもちろん、契約社員、派遣、フリーランスなど昔より働き方が多様になっています。僕は今フリーランスとして活動していますが、人間関係のストレスの少なさはHSP気質にとってメリットになります。
もちろん会社員でこそ力を発揮するHSPの方もいますので、どんな形で仕事をするのが自分に合うかは本当に人によります。ただ、いろんな働き方があるのを知っているだけでも、だいぶ視野は広がります。
HSP気質に固執しすぎない
HSPだからやりやすいと感じる仕事、やりにくいと感じる仕事はもちろんあります。ただし、HSP気質だけに固執するのも考えものです。あなたを構成しているのではHSPだけでなく他にも様々な性格や気質があります。
それらもトータルで考えることで、合う仕事や合わない仕事が見えてくるのでHSPだけに固執せずいろんな角度から見ていくようにしましょう。
HSPの観点も大事ですが、HSPだけで自分に合う仕事は分からないのです。
考え抜いてダメなら転職サイト・転職エージェントを活用
最近はハローワークだけでなく、
- 転職サイト
- 転職エージェント
- キャリアコンサルタント
- 適職診断
など活用できる人や機関なども多様化して、昔より情報やアドバイスなども得やすくなりました。でもまず心がけてほしいのは情報やアドバイスも重要ですが、それ以上に「自分で必死に考え抜くこと」。
僕はこの辺をちゃんと意識したのが30歳くらいなのでかなり遅かったです。
できることなら新卒のときに考えておきたかったです。
興味のあることでも、シンプルにやりたいことでも逆に嫌いなこと、やりたくないことでもOK。仕事を選ぶのもそうですが、「自分がどうありたいか?(どう生きたいか?)」を考えてみるのもオススメです。
ただし考え抜いたうえでどうにもならなかったり、相談できる人が周りにいなければそのときに転職サイト、転職エージェントを使うと強い味方になってくれますし、転職活動もはかどりやすいです。
「HSPだからこの仕事が正解」はない
HSPに向いている仕事みたいな形で書きましたが、本来はHSPだからこれという仕事はありません。世間一般ではHSPに合うという仕事でもいざやってみたら全然合わないということもありますし、逆に一見合わなそうな仕事が意外と合うなんてこともあります。
合う仕事、合わない仕事はHSP以外にも考えるポイントが多いですが、だからこそしっかり考えて後悔のない仕事選びをしてほしいと思います。