著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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2020年は一部の人の間では『HSPブーム』と呼ばれるくらいHSPが知られた年になりました。
その中で最近増えてきたと感じているのが『HSPカウンセラー』を名乗る人。
ネットで調べてたら「HSPカウンセラー養成講座」という講座もあり、HSPカウンセラーになりたい方もいるみたいです。
一方でHSPカウンセラーは、公的、権威性のある資格ではありません。
今回はHSPカウンセラーについて調べてみました。
カウンセラー次第ではメンタルの悩みなどの解決、改善にも関わるのでよく知った上で活用してほしいです。
HSPカウンセラーになるには?
TwitterなどSNS上では『HSP専門カウンセラー』たる人が存在します。
HSPの人を対象にしたカウンセラーで、カウンセラー自身もHSPなことが多いです。
基本的には講座を受けて、受け終われば「HSPカウンセラー」を名乗れるという感じです。
細かい流れは各講座で異なりますがざっくりした流れは下記の通りです。
協会や主催の人のHPで申し込めます。
時期によって募集していたりしてなかったり。
安くて1~2万円。高い講座で20万円以上する場合もあるそうです。
最近はコロナ禍でオンラインでの講座も増えているようです。
1日数時間の講座で、カウンセラーとしての基礎からセラピー、最近話題のアドラー心理学などいろんな方面から心理学を学ぶようです。
HSPカウンセラーは基本的に試験はなく、講座を修了(課題をこなす)すれば資格が付与されます。
初めての方はベーシック(基本)レベルの講座をまずは受けて、さらに高いレベルの講座を希望の方はアドバンスやプロフェッショナルと名のついたさらにレベルが上+料金が高い講座を受けることもできます。
上のクラスになればなるほど料金が上がります。
ちなみに一番下のベーシックレベル講座のみの修了者でも『HSPカウンセラー』を名乗るのはできるようです。
HSPカウンセラー養成講座の一例
HSPカウンセラー養成講座
例えば、ベストセラー作家でもある中島輝さんが主宰する講座があります。
僕が過去に開催したHSP交流会の参加者でもこの講座を受けた方の参加もありましたし、ネット上を探る限り参加者はかなり多いようです。
オフラインでは東京と大阪で開催しているみたいですが、最近はコロナウイルスの流行もありオンライン(Zoom)での参加も可能とのこと。
内容もHSPやカウンセリングについて学ぶのはもちろんですが、
アドラー心理学に基づく「セルフ勇気づけ」
信頼関係と共感について理解を深める
相手の関心に関心を持つエクササイズ
自己肯定感が高まる自分を愛する技術
HSPカウンセラー講座
といったHSPだけでなく心理学全般についても学べるようです。
所定の講座を受けて講座を修了すると、「肯定心理学協会」「torie」からHSPカウンセラーの認定証がもらえます。
なおこの中島さん主宰の講座はまずは所定の講座(ベーシック)を受けて、「さらに上のレベルを学びたい」という方には上級編の「HSPカウンセラーアドバンス講座」を用意してるとのこと。
HSPカウンセラー養成講座の値段。高いもので20万円越え
HSPカウンセラーの講座の値段は各講座でバラバラなようです。
「HSPカウンセラー 講座」とかでGoogle検索すれば出てきますが、20,000円~200,000円弱とかなり幅広い印象です。
講座も数回~10回とあるので、時間とお金はそれなりにかかりますね。
先ほど触れた中島さんの講座を例にとると、
- HSPカウンセラー・ベーシック資格講座:18,000円(6時間)
- HSPカウンセラー・アドバイス資格講座:38,000円(18時間)
- HSPカウンセラー・プロフェッショナル資格講座:250,000円(30時間)
だそうです。
ちなみに僕の知り合いで『産業カウンセラー』の方がいますが、産業カウンセラーも同じような養成講座があり、時間は倍以上取りますが297,000円とのこと。
HSPカウンセラーの立ち位置=民間資格
民間資格
- 団体や企業がセミナーや試験を行って認定する資格
- 社会のニーズに合ったものから信用度の低いものまでさまざま
- 法律で制度化などはされてない(法律で定められたものではない)
- 例:HSPカウンセラー、ダイエット検定、TOEICなど
国家資格
- 法律で定められた資格。受験資格として学歴が絡むことが多く受験するにもハードルが高いこともある
- もちろん試験の難易度も高い
- 例:医師、弁護士、司法書士など
民間資格と言ってもTOEICは就職・転職では重宝されてますね。
そんなHSPカウンセラーの資格ですが、立ち位置としてはいわゆる国家資格など公的な資格ではなく、単なる民間資格くらいの位置づけです。
現状カウンセラー関係の国家資格は「公認心理士」のみなので、シンプルに考えれば公認心理士の資格を持っている人が一番カウンセラーとしては力量が確実とも言えます。
公認心理師は国家資格ですので、国家試験に合格しなければなりません。そして、国家試験は誰でも受験できるわけではなく、いくつかの条件を満たさなくてはなりません。さらに、試験に合格後、公認心理師の登録証が発行されて初めて「公認心理師」と名乗ることができます。
公認心理師の受験資格を得るためのルートには、次のA〜Cの3つがあります。
A:4年制大学で指定科目を履修し、さらに大学院で指定科目を履修
B:4年制大学で指定科目を履修し、さらに指定の施設で実務経験を2年以上
C:外国の大学において心理に関する科目を修め、かつ、外国の大学院において心理に関する科目を修了
受験資格は?大学院を卒業していないとダメ? ジョブメドレー
さすが国家資格だけあって、公認心理士は大学や大学院で専門科目を学んでいることが必須です。
ちなみに僕は大学で心理学は学んでないため、もし僕が公認心理士を取る場合はもう一度大学や大学院に通う必要があります。
また心理学・カウンセラー系の資格で「臨床心理士」という資格もあります。
臨床心理士は、心の問題に取り組む“心理専門職”の証となる資格です。
「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。
臨床心理士とは 日本臨床心理士資格認定協会
臨床心理士も国家資格ではないとはいえ、専門職の要素が強いため公認心理士と同じく資格取得のためには大学や大学院で専門科目を学ぶのが必須です。
公認心理士か臨床心理士の資格を持っていればとりあえずは確実ですね。
HSPカウンセラーへの疑問
HSPカウンセラーはHSPをわかってる?
一般的なカウンセラーは、みんながHSPについてしっかり知っているわけではありません。
僕の2019年に知り合いのカウンセラーが主催するイベントに参加してそこには10人くらいのカウンセラーがいましたが、僕の知り合いを除いてHSPを知っている方がいませんでした。
では、HSPカウンセラーはどうか?
HSPカウンセラーとも接点を持ったうえでの印象ですが、
- 基本的なカウンセリング能力は悪くない
- HSPも基本はおさえてる
- ただし、HSPの最新研究などエビデンス関係は知らないことも多い
という印象。
僕が実際にHSPカウンセラーとHSPの話をしたり、TwitterなどSNS上でのHSPカウンセラーの発信を見てる限りはほぼこんな感じでした。
エビデンスについては実際にカウンセリングでどこまで使うか?という問題もあるかもしれませんが、HSPのおおもとはやはり研究・論文なので、HSPに携わるのであればさすがに研究について全く知らないのはマズいと思います。
アーロン博士は皆さん知っていますが、最新研究に重きを置くのであれば海外ではマイケル・プルース博士、日本国内でも飯村周平先生などむしろアーロン博士以外の研究が今は主流になりつつあります。
そのためカウンセラーなどでHSPの知識をちゃんと身につけたいのであれば、アーロン博士以外の研究も知っておくのは必須です。
ちなみに某HSPのインフルエンサーはカウンセリングに(過剰な)自信を持っているがゆえに、HSPの研究にはノータッチだそうです。
こう言うタイプの人がいわゆる『ビジネスで』HSPを使っているということですね…
果たして、この人のカウンセリングやアドバイスに根拠はあるのでしょうか?
資格がなくてもHSPカウンセラーは名乗れる?
実は『カウンセラー』は、資格を持っていなくても名乗れます。
そういう僕も心理学系の資格は一切持っていませんが、その気になれば今すぐ「カウンセラー」を名乗ることができます。
とはいえ、大学で心理学を専攻してたわけでもないですし、カウンセリング能力があるわけでもないので、僕は今のところカウンセラーを名乗るつもりはありません。
これはビジネス、お金云々以前に人としてのモラルの問題と思っています。
ちなみに繊細さんの本で有名な武田友紀さんは、HSP向けのカウンセラーとして活動されていますが、資格を持っていないことは本人も公言されています。
資格は持っておりません。数多くのHSPから相談を受けてきた知見をもとに、また、心理学については独学で相談業務を行っております(精神科医による講座等には参加しておりますが、資格や認定のあるものではございません)。
よくあるご質問 繊細の森
ご相談サービスをご利用いただくかどうかは、著書やHPのコラム等をご覧いただきご判断ください。有資格者に相談したい場合には他のカウンセラーや精神科医をお探しいただければと存じます。
資格の有無でカウンセラーの技量は測りきれませんが、
- カウンセラーをやっている=資格保持者…ではない
- カウンセラーを名乗ること自体は誰でもできる
ということは把握しておいた方が良さそうですね。
ちなみにざっくりした肩書として『心理カウンセラー』と名乗る人も多いです。
実際調べると臨床心理士などちゃんとした資格を持っていますが、多くはレベルの低い資格をぼかして心理カウンセラーと自称しています。
心理カウンセラーは特定の資格名ではないことに注意しましょう。
極論、僕ですら心理カウンセラーを名乗るのは一応可能です。
HSPカウンセラーは誰でも名乗れるからこそ注意
- HSP(専門)カウンセラーという類の資格や養成講座がある
- HSPカウンセラーは講座を受けることでなれる、名乗れる
- 講座は2万円台~20万円弱と値段に幅はある
- あくまでHSPカウンセラーは民間資格の立ち位置。そのため国家資格や公的資格ほどの信用度があるわけではない
- カウンセラーや心理学系の資格では『公認心理士』が唯一の国家資格(臨床心理士、産業カウンセラーもよさげ)
- HSPカウンセラーであればHSPの基本は分かっているが、エビデンスや最新の研究について知っている人は少ない(というかいない?)
- 資格がなくても(HSP)カウンセラーを名乗っている人もいる
2020年は研究者の方など一部の方からは『HSPブーム』とも呼ばれているくらい、HSPがテレビに取り上げられるなどしてHSPの知名度が上がった年になりました。
HSPカウンセラーというのも、元々はHSPならではの悩みを相談するためにできた資格だと思います。
ただ、公的な資格でなかったり、講座を受けるだけと考えるとHSPカウンセラーの資格取得のハードルが高くないことを考えると、HSPカウンセラーの実力・質の高さはピンキリになりがちな印象です。
だからこそ、『HSPカウンセラー=質が高い』と考えるのではなく、カウンセラー個人個人のカウンセリングの技術からHSPの知識まで、様々なことを検証する必要がありますね。
特に今後カウンセラーになろうと考えている方は、資格を取ることに満足するのではなくカウンセラーの技術や研究の知識など『質』や『知識』をしっかり身につけてほしいと思います。