著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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最近は、一部の人が「HSPブーム」とも呼んでいるくらいHSPという言葉が以前より知れ渡りました。HSPの知名度が上がったこと自体は嬉しいことですし、僕もより一層HSPの発信をしっかりやっていこうと思っています。
一方でSNSを中心にHSPの情報量がすごい増えたとも感じています。そうなると、
- HSPの情報ってどれが正しいの?
- どこでHSPの情報や知識を手に入れれば良いの?
といったことを思う人もいるかもしれません。
僕としては、確実に質の高いHSPの情報を手軽に手に入れるという意味では『本』をオススメします。
本であればHSPについての質の高い情報が書かれていることも多いため信頼性は高くなります。
今回の記事はそんな本の質も踏まえたうえで、レベルや段階ごとにHSPの本を紹介しています。
各HSP本の概要
本のタイトル | オススメ度 | 著者 | 出版社 | こんな人向け |
---|---|---|---|---|
敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本 | | 長沼睦雄 | 永岡書店 | ・HSPを知ったばかり ・精神科医目線のHSPを知りたい |
敏感すぎて困っている自分の対処法 | | 苑田純子 | きこ書房 | ・HSPを知ったばかり ・分かりやすい情報が欲しい |
ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」 がなくなる本 | | みさきじゅり | 秀和システム | ・HSPを特に仕事と絡めて知りたい |
繊細さんの本 | | 武田友紀 | 飛鳥新社 | ・疲れやすいなど生活での悩みを解決したい |
HSCを守りたい | | 斎藤暁子 | 風鳴舎 | ・お子さんがHSC ・HSCを知りたい |
HSPの教科書 | | 上戸えりな | Clover出版 | ・HSPを幅広く知りたい ・HSCの情報も欲しい |
HSPの心理学: 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」 | | 飯村周平 | 金子書房 | ・HSPを卒論で使いたい大学生 ・HSPを本気で学びたい |
HSPブームの功罪を問う | | 飯村周平 | 岩波書店 | ・ネット上のHSP情報に違和感がある ・HSPの背景を知りたい |
敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術 | | エレイン・N・ アーロン (訳:片桐恵理子) | パンローリング | ・アーロン博士の研究について知りたい |
繊細な心の科学 | | 串崎真志 | 風間書房 | ・HSPについて心理学も絡めて知りたい ・HSPの研究的知見について知りたい |
HSP研究への招待 | | 飯村周平さんら8名 | 花伝社 | ・いろんなHSP研究者の知見が知りたい ・手っ取り早くHSPの幅広い知識をつけたい |
HSPを知ったばかりの人にオススメの本
HSPを知ったばかりの人が最初に見るであろう本ですね。HSPは元々心理学の話ですが、何の知識もない人がいきなりガチの心理学をもとにHSPを知ろうとするとしんどすぎて挫折する可能性も高いです。研究論文が良い例ですが、専門用語が多くて何を言ってるかさっぱりわかりませんからね。
その点では、まずは分かりやすくHSPについて解説された本を見ることで
- HSPの概要
- 自分がHSPかどうか
- HSPとどう付き合っていくか
などをある程度把握することができます。
また下記で紹介している「敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本」や「敏感すぎて困っている自分の対処法」などのように漫画も交えていると、ただ活字だけの本と比べてもかなり見やすくなります。専門性が増すほど、活字の比率が多くなって最後まで進めるにも根気が要りますからね。
あるあるネタも多いので、初心者にとって非常に分かりやすいです。
逆に言えば、今の僕みたくHSPの知識がある程度あったり心理学の知識があるような方だと物足りなく感じる可能性もあります。また、本の内容が一部エビデンス(HSPの研究)とは関係ない場合もあるので、HSPの全てを知るには厳しいです。あくまで入門編、初心者向けとして活用しましょう。
- HSPを知ったばかり
- HSPについての知識がほとんどない状態
- HSPについてまずは手軽に知りたい
- 活字を読み続けるのがキツイ
敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本
北海道で精神科医をやっている長沼睦雄先生が書いた本。極力専門用語を排除し、かつ漫画仕立てなのでかなり分かりやすいです。いきなり学術的なところから入ると難しすぎて挫折するので、「最初の1冊」しては良い本です。
僕がHSPの本で一番最初に読んだのが『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』でした。
漫画仕立てで分かりやすいので、HSPの知識がほぼゼロの状態でもストレスなく読めたのが良かったです。
敏感すぎて困っている自分の対処法
こちらも同じく専門用語などを極力排除し、漫画仕立てになっています。いわゆる「HSPあるある」も多く、共感しそうなことも多いです。僕はHSPを知って最初に読んだのが「敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本」とこの「敏感すぎて困っている自分の対処法」の2冊でした。
この本もHSPを知ってすぐ読みましたが、分かりやすくて良かったです。
ちなみに内容としては、『 敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本 』と大差ない感じがあるのでどっちにするかはお好みで。
HSPの定番・ベストセラー本
本屋でよく売れているベストセラー、定番の本ですね。特に「繊細さんの本」は、最近はどこの本屋に行っても置かれている印象です。
このレベルの場合、「ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本」の著者のみさきじゅりさんや「繊細さん」の著者の武田友紀さんのようにカウンセラーの方も多いので、カウンセラー目線でのHSPの話が中心になってきます。
カウンセラー目線ということで入門編で紹介した本と比べると、少し専門的な話も出てきますが解説や補足をされていることも多いので、心理学の予備知識が少ない状態でもさほど苦にはならないと思います。
単純なレベルだけなら入門編とさほど変わらないかもしれません。好みによってはこのレベルの本を入門編としても良いかもしれません。
- ある程度HSPの知識が身についてきた
- カウンセラーの話などより実践的な情報が欲しい
ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本
著者のみさきじゅりさんはHSPのカウンセラーに加えて、国家資格である「キャリアコンサルタント」も所持しています。本のタイトルにもありますが、特に『仕事の悩み』については他のHSPの本と比べてもかなり厚く取り扱っている印象です。
HSPについて一通り触れているのはもちろん、著者のみさきじゅりさんがキャリアコンサルタントの資格を持っているだけに特に『仕事』を軸にした話が多いです。
仕事でお悩みのHSPの方は必読の本ですね。
繊細さんの本
著者の武田友紀さんは「世界一受けたい授業」などいろんなテレビ・メディアにも出ており、HSPの関係者で一番有名と言っても良いかもしれません。そんな繊細さんの本は、HSPに関する悩みについてまんべんなく取り上げられているので、本の内容もかなりバランスが良い印象です。HSP関係の本では一番売れているみたいですね。
子育て(HSC)向けの本
HSPの子供バージョンで「HSC(Highly Sensitive Child)」と呼ばれる気質もあります。
通常のHSPの本だと、HSCや子どもに言及しているページがそこまで多くありませんが、「HSCを守りたい」の場合は著者当人もHSCのお子さんを抱える当事者で本の中では他のHSCのお子さんがいるお母さん同士の座談会が行われたりなど、HSCについてのリアルな情報が見れます。
またHSCにともなって不登校になったときの支援についても言及されています。スタディサプリのような自宅学習のツールやコミュニティ、スクーリングなど様々な角度から不登校の子どもの支援も知れます。
HSCに特化した本は現状そこまで多くないので教育に興味のある方やお子さんがHSCという方は必見ですね。
- 自分の子供がHSC
- 子供がいる親
- 教員やスクールカウンセラーなど教育に携わっている人
HSCを守りたい
HSCを守りたいは、出版にあたって『クラウドファンディング』が実施されました。本の著者は斎藤暁子さんですが、他のお母さん方の話や精神科医の長沼先生や明橋大二先生なども出てきており『HSC』に特化した内容です。
現状、HSCに特化した本はまだそこまで多くないので、HSCの情報源としては貴重です。
座談会、対談形式のページもあり、HSCの子供を持つ親の『リアル』が伝わりやすいですね
HSPの教科書
上戸えりなさんも同じくカウンセラーをやっています。『教科書』というだけあって、HSPについて広く書かれています。加えて著者の上戸さんはお子さんもいるお母さんのため、本の中では子育て関連のHSPの悩みについても言及されています。
親でHSPの方、子育てに悩んでいる方には心強い本です。
生活や人間関係、恋愛・結婚などHSPに関して幅広く触れています。
今回取り上げた本の中では、一番HSPについて幅広く書かれている本かも。
HSP中級者以上向け。学術・研究寄りの本
ここまで紹介した本は、HSPについて分かりやすく解説しています。ただし、本の著者はカウンセラーが多く、いわゆる「研究者(専門家)」というわけではないです。
HSPのおおもとも、研究から始まっているため「確実にHSPの正しい情報を得たい」のであれば、HSPの研究にも触れる必要が出てきます。Google Scholarという研究論文の検索エンジンがあり、そこで論文を閲覧することも可能ですが、なにせ難しい。
僕も大学(農学部)で研究はしましたし、論文を書いたり他の論文も見たりしましたが当時の僕でもかなり苦労しましたし、まして一般の人がそう簡単に論文の内容を理解することもできません。HSPを知るのに、いきなり学術寄りの本から入ると挫折する可能性が高いです。
そのため、まずは入門編やベストセラーの本を見てHSPの知識をつけて、そのうえで学術的な本に触れた方が良いですね。
- HSPについてレベルの高い知識が欲しい
- 研究目線、エビデンスのある情報が欲しい
- HSP含め、心理学を突き詰めたい人
ちなみに2022年の段階で、僕が知る限り日本の研究者が著者を務めているHSPの本は「繊細な心の科学」「HSPの心理学: 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」」「HSPブームの功罪を問う」くらいのようです。
他の日本人が著者の本はカウンセラーや精神科医が書いたものがほとんどです。
カウンセラーなどでHSPを使うことをお考えの方はこのレベルが理解できないとキツイかも…。
HSPの心理学: 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」
日本で数少ないHSPの研究者である創価大学の飯村周平さんが書いた本です。2020年以降、HSPがメディアで取り上げられて広く知られ一部の人の間では「HSPブーム」とも呼ばれています。
そのHSPブームの中でHSPを知る人が増えた一方で、間違った情報やHSPを使って悪徳ビジネス、HSP外来やHSPうつなどといったエビデンスのない医療行為が増えてしまいました。それに警鐘を鳴らしつつ、研究の視点で見たHSPを最新の研究事情も交えながら解説しています。
ここまで紹介した本と比べるとぐっとレベルは上がる印象ですが、DOESやアーロン博士の話などHSPの基本を押さえていればそれほど難しくはないと思います。
最近は卒論でHSPを扱う大学生もちらほら見かけるので、そう言う人は必須の本。
本気でHSPを知りたい人はまずこの本です。
HSPブームの功罪を問う
HSPブームの心理学と同じく飯村周平さんが著者の本。HSPの心理学と同じくHSPの専門知識が多いですが、それに加えてメディアにおけるHSPなどHSPブームに重きを置いた内容になっています。
メディアやHSPを謳う医療機関などへの問題提起もあり、特性上ネットでは手に入らない情報も多いです。全部で80ページくらいとほかの本よりボリュームが少ないので、気軽に読めます。
ネット上のHSP情報に違和感があったり、HSPブームの裏側を知りたい人は必須の本です。
敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術
著者はHSPの第一人者でもあるアーロン博士で、もともと海外で出版されたものを翻訳した本です。アーロン博士の研究や生活に沿った話が多いので、アーロン博士の研究を知りたい人はこの本を読むのが手っ取り早いです。
後半でスピリチュアルの話も出てきますが、HSPとスピリチュアルの関連についてはほぼない(と思われる)ので、そこはスルーした方が良いかもしれません。
とはいえ、HSPの第一人者のアーロン博士の話や研究を取り上げているのが良いですね。
繊細な心の科学
著者の串崎真志さんは関西大学文学部の教授でHSPの研究もされている日本では数少ないHSPの研究者です。
そんな中で繊細な心の科学は、HSPの研究者が書いた数少ない本です。
現時点(2021年3月時点)で日本のHSPの研究者が執筆した唯一の本。エビデンスはもちろん、どんな感じでHSPが研究されているかも知れるので、本当の意味でのHSPを知りたい方にオススメです。
HSPを卒論のテーマにしている大学生にも繊細な心の科学は勧めておきました。
今後研究が進むことで、他のHSPの研究者の方が本を出版することも予想されるので期待したいですね。
HSP研究への招待
2024年2月出版と今回紹介する本では一番新しいです。著者が飯村周平さんを筆頭に日本のHSP研究者8名もおり、心理学の各分野におけるHSPの解説がされています。
正直内容は研究に準拠しているためかなり難しいですが、研究の話をほぼそのまま載せている点では卒論の参考文献にも使えるレベルなどHSPの本質が理解できます。
正しいHSPの知見を発信していくブロガーの第一人者のオススメHSP本ランキング
今回紹介した中で僕的にオススメできる本をランキング形式で紹介します。
ベスト3は以下の3冊で僅差ですが、とりあえずこの3冊を読んでおけば間違いないですし最悪この3冊だけでも問題ないです。
飯村周平さんを筆頭に日本のHSP研究者8名が著者。発達心理学、臨床心理学、性格心理学など同じ心理学でも多様なアプローチでHSPを解説。
特に卒論でHSPを扱いたい学生や僕のようにHSP関連のイベントをやりたい方はこの本は必須。
アーロン博士だけでなく、最新のHSP研究の話を網羅。
またビッグファイブやレジリエンスなど、HSP以外の観点からも解説しているため、様々な角度からHSPを学べる。世の中のHSPブームやHSPを使った悪徳ビジネスや医療行為にも触れているため、HSP情報の見分け方もわかる。卒論などHSPの専門分野を知るには必須の本です。
HSPそのものについて知れることはもちろん「なぜHSPがメディアに出てくるようになったか?」「HSPはどういう人が関心を持つのか?」一段階深い話がたくさんあります。HSPの心理学とセットで読むと、HSPの専門知識から社会的な観点から見たHSPまで幅広く網羅できます。
研究に基づくという点でこの3つの本の質が圧倒的な点と市販のHSPの本の大半は専門家ではない人が書いているという理由でこの3つが質としてはとびぬけている印象です。
その中で特に「HSPの心理学: 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」」はアーロン博士以外のHSPの知見もふんだんに盛り込んでいるため、他の本ではカバーできていない様々な心理学の知見も学べる点で1位としました。
HSPの本から情報収集しよう
段階別の観点からオススメのHSPの本を紹介しました。
今は特にSNS内でHSPの情報量もかなり増えてきていて、あれもこれも取り入れ出すとあっという間に情報過多になって疲れてしまいます。その中で上手く情報の取捨選択をすることも重要です。SNSなどネット上でもHSPの情報は得られますが、信ぴょう性に不安があります。その点で本であれば質の高さはある程度保証されているので、HSPの正しい情報を得られる可能性も高くなります。
HSPの正しい情報を得たうえで、各自の仕事や生活に落としこんで、少しでも良い方向に進むことができればうれしいです。