著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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ここ2,3年SNS上を中心に『HSP』というワードを見かける機会が増えたと思います。
ただ、気になるのがSNSを見てると
- HSPは甘え
- 友達にHSPの人いるけど正直ウザい
- HSPの人って実は図太いよね
- HSPって胡散臭い
- HSP「さん」という呼び方がなんか嫌だ、違和感がある
などネガティブなことも見かけました。HSPを発信する立場としてはショックと思いつつ、最近のHSPの情報を見てるとこう思ってしまう人の気持ちもわかります。
今回の記事ではHSPがどう見えるかを客観視しつつ、HSP周りにいる悪い人たちについて触れました。
HSPさんという呼び方の違和感
個人的にまず気になったのが特にYouTubeにおいてHSPの人のことをHSP『さん』と呼ぶ人がかなり多いこと。ADHDなどの発達障害やうつ病などの精神疾患など心理学がらみで「さん」付けする事例を見たことがないので、HSPさんという呼び方には強い違和感がありました。
おそらく元ネタは繊細さんの「さん」であり、どこかでミックスしてHSP「さん」という呼び方が定着したのだと推測している。
しかし、この手の妙に優しいという生温かいというか、ネバっと寄り添うような呼び方は、私個人の感覚では
- 過剰に丁寧すぎて逆に不気味さが際立つ。
- 過剰に丁寧にしなければいけないほどに、取り扱いの難しいめんどうな人間だと思われている。(=不信感の強さの現れ)
と感じてモヤっとするのだ。
すごく感覚的なことですが、HSP『さん』という呼び名には僕も前々から違和感を感じており、まるで腫れ物に触るようなニュアンスと感じてしまいます。
HSP「さん」という呼び方がモヤっとする理由を語る
僕がHSPを発信しだした2018年ごろはHSPさんという呼び名も今ほどは見られずそもそもHSPの発信をしている人自体がまだ珍しかった時代でしたが、今はHSPの発信をしている人の多くはHSP『さん』と呼んでいますね。
HSP『さん』という呼び方はおそらく繊細さんの本が始まりだと思いますが、HSP以外にさん付けをする事例って意外と見たことがないので不思議なものです。
HSPさんに優しく振舞いすり寄るHSPビジネス
HSPを使った様々な誘導がある
そうやってHSP「さん」と一見優しそうな感じですり寄ってくる人がいますが、ここ2,3年で様々なHSP(悪徳)ビジネスが誕生しました。僕が確認しただけでも以下のパターンがありました。
- HSPの治療として磁気治療(TMS)や定量的脳波測定(QEEG)などの医療行為をする
- HSP外来などHSPというワードを使った診療科目
- 不登校の親子を対象にしたHSPを絡めた不登校克服ビジネス
- HSPカウンセラーなど質の低いカウンセラーの養成講座
- その他HSPというワードを用いてアプローチし情報商材などへの誘導
例えばXなどのSNS上では自らもHSPと称しているアカウントもいますが、よく見るとよくわからない情報商材へのリンクがついていることが多いです。
登録は無料の公式LINEだったので試しに登録したら、数日商材の意義を語られた末に最終的に6万円くらいの情報商材を売りつけられました。ちなみにどういう内容なのかは全く分からなかったです。
特に医療系は悪質性が高い
特に医療がらみは悪質性も高いと個人的には思っています。
いずれも相当な額のお金がかかります…。
特に不登校や公的なサービスや機関、カウンセラーも臨床心理士などちゃんとした資格を持っているところなら極端に高いことはないのですが。
特に不登校とHSPは因果関係があるかも実証はされてないので。
というのもHSPには精神疾患がらみでアプローチしている医療機関やカウンセラーが多いですが、精神疾患は最悪のケースとして自殺などもあり得るため半端な知識でやってほしくないです。
あるクリニックでは、HSPであることによって生じるうつ症状を「HSPうつ」と名づけ、磁気刺激療法による治療を勧めています。しかし、まず前提として、心理学でも精神医学でも「HSPうつ」という概念/疾患は存在しません。それゆえ、「HSPうつ」なるものが磁気刺激療法で改善するというエビデンスも全くありません。いくつかの医療機関では、HSP/HSCを「診療」「改善」することを謳った宣伝をしています。しかし、これは明らかに医療機関側でHSP/HSCを適切に理解できていないことを意味しますのでご注意ください。
HSP情報の誤解を紐解くHSPを専門とする心理学者による見解|Japan Sensitivity Research
TMS治療は、2002年にカナダで初めて承認された、多くの治療効果をあげている治療方法です。カナダの後は、2008年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)でうつ病治療の医療器具として認可を受けました。うつ病の新たな治療法として、現在では広く世界に認知されている治療法です。
TMS治療(うつ磁気刺激治療)の効果とメリット・デメリット|うつ病ナビ
磁気治療は本来はうつ病の軽減に使われるそう。ちなみにHSPうつというワードは公式には存在しません。
HSP関連でもし困っている場合は、上記のような医療機関ではなくカウンセリングがオススメです。ただし、カウンセラーも「○○カウンセラー」という信用に値しないような肩書も無数にあります。カウンセリングで質を求めるなら「臨床心理士」「公認心理師」のいずれかは持っているカウンセラーにしましょう。
変な話ですが、肩書に「HSP」というワードがないカウンセラーの方が信用できます。
実は図太い人たち!HSP、繊細さんアピールはめんどくさいと思われる
加えて気になったのが自らを「HSP」とアピールする人。おそらく
- こうやって接してほしい
- 配慮してほしい
などの意図があると思います。逆にHSP以外の立場になって考えたときに、
- 私HSPなんで配慮して
- HSPだから○○はできません
みたいなことを言われた時に不快感を抱いたりモヤモヤしたりしませんか?
僕もHSPの発信をしている以上はHSP側の人間ではありますが、それでも「私HSPなんで~」みたく言われてしまうと、引いてしまったり、横暴さや悪い意味で図太さすら感じてしまいます。ちなみに僕の知人で発達障害の診断を受けた人が何人かいますが、その人たちは自分から発達障害ということはほとんどありません。
話の流れでたまに出てくるくらいです。
HSP、繊細さんアピールする人って一周回って図太い印象。
攻撃的なHSP!繊細ヤクザと呼ばれる人たち
そしてこのように変にHSPを自称・アピールすることが発展してか、最近は『繊細ヤクザ』という言葉も出てきています。
特に最近注目されるようになったのが、一部のHSP自認者による過度に自己愛的なふるまいです。周囲にHSPであると公言している職場の同僚が仕事でミスをした際、あなたはアサーティブに(思いやりをもって)まっとうな意見を伝えるとします。すると、そのHSP自認者は「ひどく傷つけられた」と過度に被害者的な立ち位置をとり、攻撃的になったり、HSPであることを盾にミスを正当化したりするといったケースがあるようです。このような様子から、「繊細ヤクザ」といったネットスラングも生まれています。
また、一部のHSP自認者がもつ偏見や差別による軋轢にも注目が集まっているように思います。例えば「HSPは障害ではなく特別な才能」だと強く信じるHSP自認者の中には、いわゆる「非HSP」を無神経で理解できない人々だと蔑んだりするような発信もみられます。
なぜ「繊細ヤクザ」と批判されるのか…心が疲れやすく生きづらい「HSP」が大ブームになったことの功罪
特に「攻撃的な」という要素は非常に心当たりがあり、ときにはX上で僕はまだしも僕の知人にも嫌がらせをした人もいましたからね。ブラック企業、キャリア、メダカ、教育といろんな分野においてブログやSNSなどで発信していろんなアンチを見てきましたが、HSP関係の人が攻撃性だけならとびぬけて高いです。
僕がSNS上でHSP関係の人と積極的にコンタクトしないのは主にこれが理由です。
残念ながらHSPだから優しい人とは必ずしも言い切れないのです…。
(もちろん良い人もいますよ)
まとめ
- HSP『さん』という呼び方に違和感はありませんか?
- わざわざ自らをHSPや繊細さんとアピールする意義がない
- HSPを謳った変なビジネスがいっぱいあるので注意
- 繊細ヤクザというネットスラングも出てきており、HSPとそれ以外の人たちのちょっとした対立構造も見られる
今回の話、HSPを最近知った人やHSPを自称している人には耳の痛い話かもしれません。ただ、俯瞰してHSPをあまり知らない人の立場で考えたらわかると思います。
「私HSPなので配慮してください」と言われてしまうと、ちょっとした傲慢さを感じますよね。HSPは本来闇雲にアピールするものではなく、知識として持ちつつ自己理解や支援に活かすものだと僕は考えています。
どうかHSPを変なことに使わず、正しい理解をしてほしいものです。