著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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HSP(Highly Sensitive Person:繊細な人)の特徴の「DOES」についてまとめました。
HSPの4つの傾向の頭文字を合わせて「DOES」と呼んでいます。今回の記事を読むことで、
といったことがわかります。この記事を通じて、少しでもHSPに対する理解が進めばと思います。なお今回は参考文献として、上戸えりなさんのHSPの教科書も参考にしています。
HSPとDOES
HSPとは
- 他人の言動を気にしすぎてしまう
- 五感が敏感、過敏
- 感受性が豊か
- 人の多い所にいると疲れやすい
などが挙げられていますが、厳密にHSPの定義として定められているわけではありません。
これらはHSPの特徴のほんの一部なのです。
そんなHSPの定義として、HSPの第一人者でアメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン博士も「DOES」を提唱しています。
HSPの特徴「DOES」とは
- 深く処理する
(Depth of processing) - 過度に刺激を受けやすい(being easily Overstimulated)
- 全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い
(being both Emotionally ractive generally and having high Empathy in particular) - ささいな刺激を察知する(being aware of Substle Stimuli)
HSPの定義とも言われている4つの要素「DOES」についてです。
アーロン博士は4つの要素のうち、これらすべてに当てはまる場合をHSPであるとしています。
HSPが気になるかたはぜひ触れてほしいところです。
深く処理する(Depth of processing)
- 深い質問をする
- あれこれ可能性を考えて、なかなか決断ができない
いわゆる「深く考える」ということですね。
一つの物事にたいしてとことん追求したり、話をするときも雑談より深い話をすることを好む傾向があります。
情報処理が少し遅い場合もありますが、そのぶんじっくり考えます。
HSPは仕事が遅い?環境次第で変わる
少し分かりづらい部分もありますが僕でいうと、
- 一つ一つの作業がゆっくりだが丁寧
- 思考が深く、考える時間をたっぷりとる
- 特に一人でいるときに、常になにかしら考えていることが多い
- 一つの事例からたくさんのことを考えられる
などがあります。
『思慮深い』なんて言葉もありますが、そういうタイプの人がこの「D」のタイプに当てはまりますね。
過度に刺激を受けやすい(being easily Overstimulated)
- 大きな音でダメージを受ける
- 痛みに敏感
- 人に見られたり実力を試されたりする場面では、普段の力を発揮することができない
これまでの記事で音に敏感などの話をしてきましたが、五感についての話はこの要素です。
また五感だけではなく、まわりの雰囲気に影響されやすいのもこれですね。
僕は塾講師だったときに社長が全体会議で社員を恫喝していたのが、たとえ自分に関係なくても聞いているだけで苦痛でした。
このように五感やまわりの雰囲気による影響を受けやすかったり不安を感じるタイプがこれに該当します。
できることなら、このような刺激の多い環境は避けたほうがいいです。
HSPに合う職場環境を見つける方法
全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い(being both Emotionally ractive generally and having high Empathy in particular)
- 物事の一つ一つを深く感じ取る
- 涙もろい
- ささいな間違いにも強く反応する
例えば友達がなにかに悩んでいたときに、それを自分事のように受け止めることができます。その反面、感情移入しすぎて自分までその友達と同じようなネガティブな気分になってしまうこともあります。感情移入でいうと僕の場合は、テレビドラマを観ててすごく感じるところはあって、架空とは言えドラマ内の雰囲気がそのまま自分の中に入ってくる感覚があります。
雰囲気などに引きずられるので、僕はテレビドラマは観ないようにしています。
特にサスペンスものやホラーなど怖い要素があるものは、数日引きずってしまいます。このように他人の言動や雰囲気に影響されやすい一面もあります。
ただ「涙もろい」「ふとした時に涙が出る」については少し注意が必要です。
というのも特に感動とかではなく何でもないときに涙が出る、泣いてしまうというのはうつ病の初期症状でも見られます。
これをHSPだと片づけてしまうと万が一うつ病などを患っていた場合に重症化する可能性もあるため、仕事上で大きなストレスを抱えているので心当たりがある場合は精神科などの医療機関の受診をオススメします。
ささいな刺激を察知する(being aware of Substle Stimuli)
- 小さな音、かすかな匂いなど、細かいことに気づく
- 人や場所の外見上の小さな変化に気づく
- 相手の表情や声色、目線などのかすかな変化に気づける
小さな刺激や変化にも気づけるということですね。
ただし車など機械をあつかうときにわずかな異音も察知できることがあるので、変化やほころびをいち早く発見するという点はメリットにもなりますね。
悪くいえば、音や光など五感に関する刺激にたいして過剰に反応してしまうこともありますが。
HSPかどうかのチェックもできる
ここまでHSPの定義、特徴を紹介しました。
ここまでで自分がHSPの判断がつけばそれで良いですし、もし微妙な場合はネット上でもHSPの診断テスト(チェックリスト)はあるので受けてみるのをオススメします。
もちろん、無料です。
ただ絶対的な指標ではないので、あくまで一つの目安としてご使用ください。
自己分析の一環としてつかうとちょうど良いですね。
実はネット上のHSP診断テストは質がピンキリですが…。
例えばアーロン博士のサイト内にある『Are You Highly Sensitive?』(英語)においてはDOESが全部当てはまって、かつこの診断テストも質問に対して27個中14個以上当てはまればHSPの可能性が高いと言えます。
ちなみに僕は27個中23個当てはまりました。
ただし、HSPの可能性が高いとなってもくれぐれも悲観しないでください。
HSPは病気ではなく、あくまで特性や気質の一つ。
性格や血液型のちがいいと同じように思えば大丈夫です。
HSPは治したり、克服するものではありません。
DOESも万能ではない
ここまで書いてあれですが、DOESも万能とは言えるわけではないようです。
元々『HSP尺度』と呼ばれる研究論文におけるHSPのチェックリストのようなものがありますが、その中でもDOESの立ち位置はあまり明確ではありません。
そもそもDOESも本来は『こういう行動の傾向が見られる』というあくまで外から見てわかるHSPの特徴です。
でもHSPはそれにくわえて本来は脳や神経も関係してきます。
研究では、いくつかの遺伝子型の有無が、感受性の個人差に関与することが指摘されています。例えば、セロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)のS型、ドーパミンD4レセプター遺伝子多型の7R型などです。
環境感受性の指標として、神経生理的な反応性を参照する場合もあります。例えば、実験協力者に対してfMRIの中で刺激画像を提示して、その際の脳領域の活性化をみるような研究です。神経生理的な研究知見はまだ限られていますが、環境感受性が高い人は、扁桃体(感情)、海馬(記憶)、島皮質(共感)などの脳領域が環境刺激を受けて賦活化する傾向が比較的強いようです(Acevedo et al., 2018)
Japan Sensitivity Research
とはいえ脳や神経はすぐに調べられるものでもないので、その点はDOESの考えは使い勝手がいいとも言えます。
現状はDOESに当てはまるかどうかと論文中のHSP尺度(チェックリスト)を併用するのが確実ですね。
なおHSP尺度については青年前期(中学~高校)、小学生、成人(大学生以降)と年齢ごとにも分けられているので、活用をオススメします。
HSPを知るにはまずはDOESから
- HSPの大きな特徴は4つあり、それぞれ頭文字をとって「DOES」と呼ばれている
- DOESの4つのうち、一つでも当てはなければHSPではない
- DOESに当てはまり、かつHSP診断テストでも当てはまるようであればHSPの確率が高い
巷ではHSPのことを「大きな音に弱い」「人混みが苦手」「疲れやすい」などかなりたくさんのパターンが言われていますが、僕自身が情報の多さに少し混乱気味だったので、原点回帰する意味で改めてDOESについて書きました。
自分がHSPかどうか気になるかたは、まずはDOESに当てはまるかを確認してみましょう。
せっかく生まれ持った気質ですから有効活用したいですね。
DOESについてはこの本でも詳しく解説されています↓