僕は現在NPO法人教員支援ネットワークT-KNITの広報の仕事をやっており、その関係でいろんなイベントに顔を出しT-KNITのアピールをしたり、各団体などの人と名刺交換をするなど初対面の人と会う機会が最近はかなり多いです。
実は僕は人見知りをする方で初対面の人と会うのにかなり気疲れをしたり上手く話せないタイプでしたが、最近は少しずつコツをつかみつつあり、初対面の人とのコミュニケーションも以前よりは上手くなったと思います。
「人見知り」とは、子供などが知らない人を見て、恥ずかしがったり嫌ったりすることを表します。しかし、最近では大人が「人見知り」ということも。「初対面の人と上手く話せない」「人前が苦手」「新しい環境になると緊張してしまう」などがあるなら、それは「人見知り」にあたるかも。
引用元:小学館
いわゆる研究論文など公式な場ではHSPと人見知りの関連性は特に言及されてはいませんが、これまでに僕が開催してきたHSP交流会・勉強会においては人づきあいに関する話題や相談の話もたまに出ていました。
HSPの人は、環境や他者の反応に対して敏感に反応するため、初対面の人とのコミュニケーションで感じる情報量が多く、精神的に疲れやすくなることもあります。このため、初対面の相手と会話する際に過度の刺激を受け、人見知りのような反応を示すことがあります。
HSPだから人見知りしやすいとかではないですが、人見知りなど対人関係の悩みを持っている人は多い印象ですね。逆にいえば一人でいる時間が長いことを苦にしない人が多い印象もあります。
僕は現在NPO法人教員支援ネットワークT-KNITの広報を1年以上やっています。広報はSNSなどオンラインでの発信はもちろんですが対面でいろんな場所を回って所属団体のアピールをすることもありますし、地域の交流会などのイベントに顔を出すことも多いです。
初対面の人との会話は緊張しますが、ポイントを押さえることでスムーズにコミュニケーションを取ることができます。まず、相手に関心を持ち、リラックスして接することが大切です。自然な笑顔を心がけ、無理に話題を提供しようとせず、相手に質問をして会話を広げましょう。自分が話しすぎないように意識し、バランスを取ることも重要です。共通点や共感できる話題を見つけると、お互いの距離が縮まりやすくなります。
個人的に一番推したいのが相手との共通項を探ること。これは本当に何でもよくて
などたくさんあります。特に僕のように地元で活動している人は仕事面はもちろん、出身地や出身校が同じ人に会う確率も上がるので、共通項を探すハードルも下がります。
共通の話題が見つかれば、自然と会話が盛り上がり、お互いにリラックスしてコミュニケーションがとれるようになります。また、共通の経験や興味をシェアすることで、相手に「自分もそうだ」と共感してもらうことができるため、関係を深めやすくなります。
共通の話題があるだけで相手もだいぶ話しやすくなります。
コミュニケーションを円滑にするうえでは自己開示も重要です。特にお互い初対面だとお互いのことを分からないため、まずはお互いを知ることから始まります。
自分の趣味や最近の出来事、仕事など、少しずつ自分のことを話してみましょう。あまり個人的なことに踏み込みすぎる必要はありませんが、相手に安心感を与え、親近感を持ってもらうために自分のことも話すことが大切です。相手も自己開示をすることで、信頼感が生まれ自然と会話が続くことが多いです。
相手に心を開いてもらうにはまず自分から。
ただ自己開示が大事とは言ってもただ話せばいいわけでもありません。自分ばかり話していたら相手が話すタイミングがなくなってしまいますからね。
会話は双方向のコミュニケーションです。自分のことばかり話してしまうと、相手が話す機会を失ってしまいます。相手の話に耳を傾け、相槌や質問を交えて、相手に話す時間を与えることが重要です。相手の話に共感したり、関心を示すことで、相手も「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と感じ、リラックスして会話が続きやすくなります。また相手の話を引き出すことで、新たな共通点や話題を見つけるきっかけにもなります。
特に自分から話すのが苦手な方は相手の話を聞くことに重きをおいても良いですね。
相手の警戒心を解く、話しやすくする意味では笑顔など話しかけやすい雰囲気も重要ですね。笑顔が難しければ口角を上げるなど多少なりとも表情を緩めておくだけでも違います。
初対面の相手に親しみやすさを感じてもらうためには、笑顔を大切にしましょう。緊張していると、表情が硬くなりがちですが、自然な笑顔は相手に安心感や好印象を与えます。笑顔でいると、相手もリラックスしやすくなり、会話がスムーズに進むことが多いです。また、笑顔は自分自身にもポジティブな影響を与え、緊張を和らげる効果もあります。鏡の前で笑顔の練習をすることも効果的です。
ムスッとした表情だと話しかけづらいですからね。
学校でも職場でもプライベートな場でも、初対面の人とのコミュニケーションは苦労したりちょっと神経をつかう部分もあると思います。もちろん人見知りならではの悩みなどもありますが、人見知りであっても立ち回り方のポイントを押さえれば意外と上手くコミュニケーションはとれます。
人見知りであっても変にふさぎ込まないで、ちょっとずつでも外に出ていろんな人と話してみましょう。
]]>SNSで「HSPあるある」というのがあり日々いろんな人がいろんなHSPあるあるを挙げていますが、その中で前々からよく見かけると思うのが「ふとしたときに涙が出る」。
実際にアーロン博士のチェックリストでも「深く感動する」という項目もあるため完全に的外れな話ではないですが、実はふと涙が出るというのはストレスがものすごくかかっていたり、うつ病などの精神疾患を患っている時にも見られる特徴です。
「HSPあるある」などを見ていると割と多くみられる事案の一つが
といった文言。
HSPを提唱したアーロン博士のチェックリストでも「深く感動する」という項目があります。ただ、あくまで『感動』が前提になっているため「ふとしたとき」など何でもないときに涙が出る、泣くといった話はHSPの観点で考えると違和感を感じます。
某メンタルクリニックのHSP外来においても「お風呂にはいると泣いてしまう」などこの手の症状・特性を訴えてクリニックを利用したという口コミはいくつか見られました。
- 「最近急に涙もろくなった」
- 「ちょっとしたことですぐ涙が出てくる」
このような症状はうつ病が進行している事を示唆している可能性があります。
特に、泣く症状は女性に多く見られ、今までは泣かなかったような場面でも泣いてしまいます。
「最近なんだか涙もろい…」原因はうつ病の初期症状かもしれません | 社会医療法人 博友会社会医療法人 博友会
実は「涙が出る」は精神科・メンタルクリニックのHPなどを見ればすぐ出てきますが、典型的なうつ病の症状でもあります。
僕も昔ブラック企業に勤めて過労がピークだったころは、仕事中に突然涙が出たことがありました。元々一般の人と比べると泣くのは少ないタイプなので自分でもビックリしました。また知人でうつ病を経験した方がいますが、その方も同様にうつ病を患った頃に仕事中にふと涙が出たことがあったとのことでした。
誤解されている方が多いですがHSPは分野で言うと「心理学」の話です。医学の話ではないため、本来は「HSPを治す」「HSPの症状を軽減する」といった文言は不適切です。
一方でうつ病は精神疾患の一つで、早めに治療をしないと重症化したり治るのが遅くなるなどいろんなデメリットが出てくるため早急な発見、治療が必要です。
ちなみに一部のメンタルクリニック等では「HSP外来」などと称して「磁気刺激療法」(TMS治療、磁気治療等)という治療法を導入しているようです。
専門家もHSP関連の治療について以下のように注意喚起をしています。
あるクリニックでは、HSPであることによって生じるうつ症状を「HSPうつ」と名づけ、磁気刺激療法による治療を勧めています。しかし、まず前提として、心理学でも精神医学でも「HSPうつ」という概念/疾患は存在しません。それゆえ、「HSPうつ」なるものが磁気刺激療法で改善するというエビデンスも全くありません。いくつかの医療機関では、HSP/HSCを「診療」「改善」することを謳った宣伝をしています。しかし、これは明らかに医療機関側でHSP/HSCを適切に理解できていないことを意味しますのでご注意ください。
HSPの功罪 | 研究にもとづくHSP情報サイト
磁器刺激療法は本来うつ病の治療に用いられるもので、HSPに関してはほとんど意味がないです。病院はあくまでうつ病など病気やケガの診察や治療に行くところで「HSPだから」病院に行くのは本来あり得ません。
逆にいえば典型的なうつ病の症状であったり、生活に支障が出るレベルになるとHSP以上にもっと重大な問題があるので、HSP関係なしに病院に行って適切な診断や治療を受けましょう。
HSPに固執しすぎて精神疾患などもっと重大なことを見逃してはいけませんね。
。
HSPあるあるとして定番クラスである「ふとしたときに涙が出る」。でも実はうつ病などの精神疾患でもよく見られるだけに、「涙が出る=HSP」とはなってはいけません。
HSPに固執しすぎて精神疾患など重大なことを見逃さないようにしましょう。
]]>HSP勉強会などでHSPの話をする中で必ずと言っていいくらい話題になるものの一つが『不登校』。
「HSPだから不登校になりやすい」というのはエビデンスに欠ける話ですが、HSPの論文で不登校に関する言及もあるので全くの無関係とも言えないかもしれません。僕は不登校の経験はないですが中学時代に部活動が苦痛で学校も嫌々行ってた時期もありました。もしかしたら部活動が不登校の要因の一つになっているのではないか?
そこで今回は部活動と不登校の関係性について研究論文を用いて考察・解説をしました。
なお今回の記事の内容は山梨大学大学院と岩見沢市立総合病院による論文「部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究」をベースに書いています。
ここ数年、不登校の子供の数は増え続けており学校や行政などが対策を講じてはいます。では不登校であったり学校に行きたくなくなる原因はというとかなり多岐に渡るようで一概にこうすればいいとはいきません。僕の知人でもお子さんが不登校という方は何人かいますが、話を聞いてる限り不登校の原因や背景なども全員バラバラで目立った共通点はない印象でした。
「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は「先生のこと」(小学生30%、中学生28%)、「身体の不調」(小学生27%、中学生33%)、「生活リズムの乱れ」(小学生26%、中学生26%)、「友達のこと」(小学生25%、中学生26%)など、特定のきっかけに偏らず、そのきっかけは多岐にわたる結果となった。
【概要】不登校児童生徒の実態調査結果
ちなみに僕は学生時代に不登校になったことはなかったですが、強いて言えば中学生の時は学校に行くのが苦痛に感じた時期もありました。その原因が『部活動』。上記の文部科学省の調査では部活動と不登校の関連性については言及されていませんでしたが、部活動が発端になって先生との関係性や体の不調、友達との関係などに良くも悪くも変化が起こるのはありえます。
ただ部活動に関しては顧問の体罰や体罰などによって生徒が自殺するなどの問題も生じており、現在は部活動を地域移行するなどの動きも出ています。そもそも部活動自体が教員にとっても生徒にとっても制約が多いもので、海外と比べても日本の部活動のシステムは独特なようです。
,①事実上,生徒全員の入部が義務づけられている学校が多いこと,②事実上,全教員が顧問になることが義務づけられている学校が多いこと,③担当する部の競技や種目等に関する知識や経験が顧問にないことが珍しくないこと,④授業期間中,休日,長期休暇のいずれにおいても活動の時間が非常に長いこと,などが特殊な例としてあげられる
部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究
もちろん部活動による人格形成や運動能力の向上などメリットもありますが、同時に最悪のケースとして自殺であったり不登校や学校自体が苦痛になってしまうこともあるのも事実のためそもそもの部活動のあり方なども見直されつつあります。
特に運動・体育は子どもによって好き嫌いや得意苦手がハッキリ出やすいですからね。
では部活動においては実際にどんな流れで不登校になってしまうことがあるのか。山梨大学大学院と岩見沢市立総合病院の研究では以下の流れがあると考えられました。
特にこれらに心当たりのある親や教員は気を付けてほしいと思います。
論文中では過度な練習量にも触れていました。論文中の事例としては顧問に「校庭を100週走れ」と命じられたことが挙げられていました。おそらく顧問も半分ジョークのような意味合いで言ったかもしれませんが、顧問と生徒という関係上どうしても真に受けてしまう子は多いです。そもそも学校の部活動はスポーツ少年団などと違い運動が得意な子だけでなく苦手な子も一定数いるため一律に過度な練習をさせるのは望ましくないとされています。
適度な運動は個人によって異なるので,一律に同一の運動を強いたり,一律に過度に体に負荷をかけたりすることは,起立性調節障害でなくても望ましいことではない。ほとんどの部活では希望者全員が入部できる仕組みになっていることをふまえれば,部活には技術的にも性格的にも多様な生徒が参加することが見込まれ,本来であればそのことを学校や顧問は折り込んでいなければならないはずである。にもかかわらず,典型的な部活は教室での授業に比べても規律が厳しかったり,指導者からは一律に高い目標が掲げられたり,さらには暗黙の規範がいくつもあったりすることも多く,多様な個性に対する寛容性が低くなりがちである。
部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究
スポーツ少年団であれば運動が得意なが多いですが、学校は多様な子が集まるので部活もそれだけ多様性に沿った内容である必要がありますね。
ちなみに僕は連帯責任などによる罰走で走り過ぎでひざを痛めたことがありました。6月の蒸し暑い時期に熱中症になりかけながら2,3時間ずっと走っていたこともあります。今ならおそらく大問題ですが。
特に運動が得意な子や高校入試でスポーツ推薦などを見越しているような子は部活中心の生活になりがちだと思います。僕も昔塾講師で中学生を担当していましたが、部活をバリバリやっているような子だと部活を最優先で日程を立てる子も多いため、塾よりも部活動を優先する子もいました。
もちろん部活動が上手く回っている分には問題ないのですが、場合によっては自由時間が減ったり部活以外の活動の機会損失なども考えられます。
部活も大事ですが、学校外も含めていろんな経験をしてほしいと思います。
また親からの過度な期待やプレッシャーが子どもの負担になることもあります。論文中では双子の兄との『比較』も取り上げられていました。双子の兄も同じ部活に所属していましたが、兄の方は顧問の言うことも適度に受け流すなど上手くかわしながら部活に望めていました。一方で本人はそうはいかず顧問の言うことを真に受け過ぎてしまい、また親が兄弟で比較をしてしまったことで、プレッシャーになってしまった部分もあります。
この点は「兄が大丈夫だから弟も大丈夫だろう」みたいな考えもあったかもしれませんね。
今回の件に限らず兄弟で過度に比較してしまうというのはあるあるかもしれませんね。
そしてこのような部活など学校でのことは相談できる相手を作りづらいです。論文中では顧問はもちろん担任の先生も顧問と同じスタンスであったため相談ができませんでしたが、養護教諭はしっかり話を聞いてくれたとのこと。
また、空手教室に通うになりそこで自分を見つめ直したりして空手教室には積極的に通うようになり、その過程で心身の状態も良くなり、高校進学後には通常通り通学できるようになったそうです。
学校は閉鎖的な環境なことが多いため、この空手教室のように外での出会いも重要ですね。できれば学校内でこのような出会いや場所があるともっといいのですが。
僕は中学生の時はソフトテニス部に所属していました。総体のあった中3の6月までやり抜きましたが、特に中2以降がかなり苦しかったです。
中2以降は苦しかったと書きましたが、逆にいえば中1の時は大きな問題はありませんでした。もちろん運動部特有のハードさなどはありましたがあくまで許容範囲内と僕は思ってましたし、キツイときはキツイが楽しいときは楽しいという感じでメリハリがついていました。
おそらくこの状態が続けば部活が苦しいとは思わなかったかもしれません。
そして問題の中2。まず起こったのが顧問の変更でした。中1の時の顧問が異動により別の学校に赴任になり、代わりに元々剣道部の顧問をやっていた先生がテニス部の顧問になりました。
そこからは度を超えた厳しさで若干ですが体罰もあったり、何かあればひたすら罰走もあったりなど。さらにそれに伴って部内の雰囲気も悪くなって、僕に関しては同級生などからいじめっぽいことも受けていました。この新顧問による「恐怖政治」のような雰囲気の中での部活だったので、20年たつ今でもいい思い出がほとんどありません。
当時(2002~2003年)は今ほど不登校も一般的ではなかったですし、退部や転部も珍しい、そもそも部活に属さないのはあり得ないという暗黙の了解などもあり辞めるに辞められないような雰囲気でした。クラスや部活以外の友人関係が悪くなかったり部活動以外は楽しかったのがせめてもの救いでした。
余談ですがこの顧問は僕が中3ときの秋という中途半端な時期に突然学校を辞めました。数年前に中学の同級生から真相を聞きましたが良からぬことが裏であったようです。
そんな僕がいたテニス部ですが元々地区大会ではほぼ無敵、僕が中1の時は団体戦で県大会出場、個人戦で関東大会に行くなどそれなりに強豪校でした。
それが中2になって顧問が変わってからはガラリと変わり、特に僕の学年は団体戦、個人戦とも地区大会敗退という結果でした。(しかも僕の学年は半分くらいがスポーツ少年団にも所属)
この経験から顧問の良しあしが部活の単純な強さにもつながると思いました。
そんな感じで地獄のような中2から中3にかけての部活動でしたが、部活動を6月に引退してからは高校受験を意識して勉強に励むことになります。
塾にも行っていたため勉強はそれなりにハードでしたが、塾のない日は家でゲームしたり友達と遊んだりと楽しめました。部活引退以降は受験勉強がメインの生活でしたが、それでも部活動がなくなっただけでも精神的にだいぶ楽になり残り少ない中学生活を楽しめました。
勉強するときはして遊ぶときはしっかり遊ぶという感じでメリハリのついた生活でした。
不登校の要因には様々な要素がある中、今回は不登校に焦点を当てて解説しました。不登校の要因は様々ですが、その中の一つに部活動があるのも間違いないと思います。
部活動で悩んでる人の悩みが少しでも和らぐことはもちろん、学校や教育委員会などにはぜひ部活動のあり方などより根本的なことから見直してほしいと思います。
]]>みなさんは学生時代、「体育」は得意もしくは好きでしたか?
僕はスポーツだと特に野球が好きですが、体育の授業は好きかと聞かれると微妙なところでした。学生時代も運動神経は中の下くらいで、体育はどちらかというと苦手な部類でした。特に運動がすごく苦手な人にとっては体育の授業が苦痛だったなんて方もいたかもしれません。
今回の記事はそんな体育の授業に関してHSP(HSC)の視点も交えながら、体育の授業はこうなるといいみたいなことを解説しました。
学校の体育の授業については「やや嫌い」「嫌い」と3割以上(31.1%)が回答(Q3)。「運動やスポーツ」よりも「嫌い」である傾向がやや強い。また、小中学生別にみると、「やや嫌い」「嫌い」と答えた割合は小学生が2割以上(24.0%)であったのに対し、中学生は4割弱(38.0%)という結果に。心身の成長に伴い“体育の授業嫌い”がより顕著になるのかもしれない。
小中学生の2割以上が「運動嫌い」理由は“人と比べられることが嫌”?――JA共済連「小中学生の運動に対する意識調査」
教科の好き嫌いの調査はネット上に無数にありますが、基本的に体育が嫌いな生徒は2~3割以上はいるという結果がほとんどで、特に体育が嫌いになることで運動・スポーツそのものまで嫌いになってしまうという懸念もあります。
ただし体育は運動神経が良い、スポーツが得意な子は体育が好きな子も多く、体育の好き嫌いは両極端になりますね。
そういう僕も特に小中学校の体育は好きかと微妙なところでした。個人的に野球・ソフトボールは好きだったり、テニス部だったのでテニスはそれなりにできましたが、他の球技や跳び箱やマット運動といった器械体操的なものは大の苦手でした。そのため自分が得意な種目であれば楽しみでしたが、苦手な種目は「やりたくないなぁ」と思ってました。
特に跳び箱は5段すら飛べるか怪しかったため、毎回跳び箱の授業前は胃が痛くなるような思いでした。あと、一般論やイメージとして「体育の先生は怖い先生が多い」のもあるかもしれません。
ちなみに高校と大学の体育は割と好きでした。高校と大学は球技が主でしたが、技能を上げるというより純粋にその種目を楽しむみたいな感じだったため、体育の授業でありつつ遊び感覚でやっていることもありました。加えて高校と大学は勉強ばかりやってるような学生だったため、体を動かす体育はむしろ気分転換になって良かったです。
では、HSPの子ども(HSC)にとって体育とはどのようなものなのか?北海道教育大学の研究で中学生約400人を対象に中学生用感覚感受性尺度(SSSI)を用いて「HSP」「非HSP]と分けたうえで体育に関する質問紙調査を行いました。
感覚感受性尺度、要はHSPのチェックリストに近いものです。
HSP群の好きな運動領域の回答を分析した結果,1位が「ダンス」,2位が「球技」,3位が「体つくり運動」,4位が「陸上競技」,5位が「器械運動」,6位が「水泳」,7位が「武道」であった。また,嫌いな運動領域の分析結果では,1位が「陸上競技」,2位が同着で「体つくり運動」と「水泳」,4位が「器械運動」,5位が「武道」,6位が「ダンス」,7位が「球技」であった。
中学校体育授業におけるHSP傾向の生徒の実態 : 体育授業に関する質問紙調査の結果から
次に,非HSPの好きな運動領域の回答を分析した結果,1位が「球技」,2位が「陸上競技」,3位が「ダンス」,4位が「水泳」,5位が「体つくり運動」,6位が「器械運動」,7位が「武道」であった。また,嫌いな運動領域の分析では,1位が「ダンス」,2位が「器械運動」,3位が「水泳」,4位が同着で「体つくり運動」と「陸上競技」,6位が「武道」,7位が「球技」であった。
その中で好きな体育の種目ではHSPと非HSPで特に「ダンス」に関して好き嫌いの差が出たとのことでした。簡単にいうとHSPの人はダンスが好きな人が多く、非HSPの人はダンスが嫌いな人が多かったという結果でした。
HSPの人がダンスが好きな理由に関しては、ダンスは野球などの球技と違って勝敗を競う要素があまりなく「表現活動」としての要素が強いです。また球技などの勝敗を競うタイプだと、例えば自分がミスをして負けたときに非難を受ける可能性もあります。ただ、ダンスの場合は球技ほど勝敗や優劣など競う場面があまりないため、不安を覚えづらいといった理由が考えられます。
体育に限らず各教科についてどのような学習を進めていけばいいかなどを定めた「学習指導要領」が存在し、原則学校の授業は学習指導要領に沿ってやるものとされています。その中で例えば中学校の保健体育の学習指導要領では以下のように目標が定められています。
体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとお
【保健体育編】中学校学習指導要領
り育成することを目指す。
(1)各種の運動の特性に応じた技能等及び個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2)運動や健康についての自他の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。
(3)生涯にわたって運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,明るく豊かな生活を営む態度を養う。
僕の小中学校の体育もそうでしたが、一般的に体育の授業というと
など「○○ができるように」みたいにいわゆるノルマみたいな形で何かに挑戦するイメージが強いかもしれません。ただ、学習指導要領に目を通した感じだと具体的に何かができるようになるような文言は見当たらない印象でした。
学習指導要領で「逆上がりができるようになる」など具体的な目標について言及してなかったのは意外でした。
学習指導要領的には運動のスキルを上げるというよりは運動の楽しさを知ったり、心身の健全な発達に重きを置いているため、必ずしも運動・スポーツのスキルが高くなければいけないわけではないです。
体育もそうですが、学校教育において部活動の立ち位置も曖昧な部分がありますね。
今回取り上げた北海道教育大学の論文ではHSP(HSC)の人の体育に対する考え方がメインでしたが、では体育の教員など大人はどのような体育の授業を心がければいいのか?
僕の主観も含みますが、体育の授業で心がけることは以下の3つと考えました。
ただこれらのことってHSP関係なく体育の授業としても非常に重要なことだと思います。実はHSPだからといって特別なことや高度なことをする必要はなく、学習指導要領などに沿ったり子どものことを考えた授業を心がければHSPだろうがそうでなかろうが良い授業になるのかもしれません。
論文上でHSPの人とそうでない人の間で体育の好みなど傾向の違いは見られましたが、結論としては「個々のペースに合わせる」「周囲との協力」などある意味ありきたりになった感じがしました。
その点ではある意味HSP(HSC)だからといって特別な配慮をするというよりは、学習指導要領に基づいて本当の意味で子供のためになる授業をすればいい話な気がしました。
]]>SNSでHSPに関する発信を見ていく中で以下のようなことを言ってる人を見たことが一度はあるかもしれません。
「HSPの人はカフェインが苦手」
おそらく数あるHSPのあるあるの中でも一番見たことがある人が多いのではないでしょうか?確かにアーロン博士のチェックリストにも「カフェインが苦手」という項目があるためそう思う人も多いかもしれません。
ただ、実際のところはHSPとカフェインの関係性に関する研究はなかったり、実は最近作られたHSPのチェックリストだとカフェインの項目が外されているなんてこともあります。実は世間一般で言われてるほどHSPとカフェインの関係性はそこまで密接ではないです。
SNSにおいて「HSPあるある」と称して、いろんなHSPならではのことが取り上げられています。数年見てきて特に多いものの一つが「HSPの人はカフェインが苦手」というもの。調べるとアーロン博士が作ったチェックリストにはカフェインの項目がありました。
I am particularly sensitive to the effects of caffeine.
(和訳:私は特にカフェインの影響に敏感です。)
Are You Highly Sensitive?
これを見て、「HSPの人はカフェインが苦手」と思っている人は多いようです。
以下の記事でHSPあるあるについて考察しました。
先述のアーロン博士のチェックリストは1996年に作られたもので、実に30年近く前のものです。そこから今に至るまでアーロン博士以外にも様々なHSPの研究者が出てきて、様々な角度からHSPの研究が進んでいます。さらに2010年代に入ると日本国内でもHSPを研究する人も出てきて、日本人のHSPの研究者がHSPに関する研究論文を出す例も出てきています。
論文上ではHSPを「環境感受性の高い人」などと表記することも多いです。
そんな中で2016年に中京大学の高橋亜希さんが「Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成」というHSP尺度(チェックリスト)作成に関する研究論文を出しました。その論文ではアーロン博士のチェックリストを日本人向けに改良したHSP尺度も作られていますが、実はカフェインの項目は削除されています。元々アーロン博士のチェックリストは27個の質問項目がありましたが、高橋さんの論文では19個に項目が減っています。
本調査結果ではAron & Aron (1997)の主張する一次元性は認められず,因子負荷量の低い項目が含まれていた。本研究で削除した項目はAron & Aron(1997)が行った6回目の調査(N=172)において8項目中4項目の因子負荷量が.40未満であった。また,5項目はこの6回目の調査の際に質問紙の表面的望ましさのバランスや,信頼性を高めるために追加または残された項目である。したがって,本研究では因子負荷量が.30以下の8項目を削除し,19項目をHSPS日本版(HSPS-J19)とした。
Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成
なお因子負荷量については以下の通りです。
因子分析において、得られた共通因子が分析に用いた変数(観測変数)に与える影響の強さを表す値で、観測変数と因子得点との相関係数に相当する。
-1以上1以下の値をとり、因子負荷量の絶対値が大きいほど、その共通因子と観測変数の間に(正または負の)強い相関があることを示し、観測変数をよく説明する因子であると言える。
因子負荷量factor loading 統計用語集
要は高橋さんの論文では因子負荷量(≒相関係数)が小さい項目を削除し、その中の一つにカフェインの項目があったとのことです。必ずしもHSPだからカフェインが苦手とは言えないみたいな形になったようです。
高橋さんの論文でカフェイン以外の削除された項目は以下の通りです。いずれも数値上はHSPとの関連性が疑問視されたようです。
また同じくHSPの研究者の飯村周平さんも「環境感受性(HSP)とカフェインの関係を調べた研究はない」としています。
カフェインから影響は受けやすいかもしれませんが、「影響を受けやすい=苦手」というわけではありません。場合によっては、カフェインから良い影響を受けることも考えられます。しかし、現在のところ、環境感受性とカフェインの関係を直接的に調べた研究はありません。
Japan Sensitivity Research
この点はGoogle Scholarなどの論文検索サイトを使えばわかりますが、今のところHSPとカフェインの関係性に注目した研究などはありません。少なくとも「HSPの人はHSPでない人よりカフェインが苦手な人が多い」みたいな研究結果はなどは今のところないということです。
「アーロン博士がHSPはカフェイン苦手って言ってるじゃん!」と言われればそれまでですが…。ただ、研究というのは常に進歩していくものでアーロン博士だから全部正しいとしてしまうのもどうかと思います。現に世界規模で見れば今はアーロン博士以外にもたくさんの研究者が論文を出しています。日本国内にも数名程度ですが、HSPの研究者(専門家)はいます。
僕自身もアーロン博士のチェックリストは27個中21個に該当、高橋さんのHSP尺度も19個中16個が該当するのでいわゆるHSPには完全に該当するタイプだと思います。ただ僕はカフェインに関しては特に気になったことはなく、コーヒーも普通に飲むことができます。
ちなみに僕がコーヒーを飲むときは基本的にブラックです。砂糖やミルクなどを入れることはほとんどないです。
コーヒーを飲んだりカフェインを摂取したから眠れなくなったり何か体調に変化が起こるなども全くありません。ただし、カフェインは体質であったり過剰摂取によって悪影響も出ることがあるので注意は必要です。
カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、ヒトの体内においてアデノシンが作用を発揮するために結合しなければならない場所(受容体)に結合します。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、その働きが阻害され、神経を興奮させます。
カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
長期的な作用としては、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。
カフェインの過剰摂取について 農林水産省
僕みたくコーヒーなどを問題なく飲める人でもカフェインの過剰摂取で症状が出ることがありますし、そもそも体質的にカフェインがダメな人もいます。そして僕もこれまでHSP交流会、HSP勉強会を通じてたくさんHSPの人に会ってきましたが、特にコーヒーやカフェイン苦手な人が多い印象はなかったです。
医学的な観点でも考えると、「HSP=カフェインが苦手」はちょっと無理があります。
お酒(アルコール)に近い感じでカフェインがそもそも合わない人もいるので、この辺は本当に個人によります。
SNSで見かける「HSPあるある」は意外とあてにならないことをご理解いただければと思います。カフェインの是非は結局HSPかどうかではなく、個人の体質によるところが大きいです。
「HSPあるある」や「HSPの人は○○」みたいな話もすぐに真に受けず、いったん冷静に受け止めてほしいと思います。
]]>みなさんは高校に進学したときってどのような心境でしたか?多くの人は高校受験を乗り越えて高校に入学したと思いますが、高校に入ると多くのことが中学とは勝手が違って戸惑った部分も多かったかもしれません。
そんな中、最近は高校に入ってつまずくことを特に高1で多いことから「高1クライシス」という名前もついているくらいです。今回はそんな高1クライシスについて自分の経験も交えながら解説しました。
高校進学にともなう環境変化などによって、不安や抑うつの増加といった心理適応上の問題が生じる生徒がいます。この問題は「高1クライシス」と呼ばれることがあり、本邦の教育政策は中学校卒業から高校入学のギャップを少なくするよう中高一貫校の設置を推進しています。しかし、新しい学校環境への適応が求められる高校移行期は、生徒の発達にとって本当にネガティブな時期なのでしょうか?
中央大学文学研究科博士後期課程・飯村周平の共同研究の成果「「高1クライシス」のもう一つの側面―高校移行期に生じる生徒のポジティブな発達的変化―」が研究雑誌「Journal of Youth and Adolescence」に掲載されます
高1クライシスは主に高校進学に伴う環境などの変化により精神面での不調などが生じることを指しています。たとえば公立中学校から高校進学の際はそれまでの同級生とは別の高校に通うなど環境が大きく変わることが多いです。
そのため高校進学における環境の変化をリスクととらえる考え方もあり、最近は中高一貫校などのように中学から高校にかけてを同じ学校(環境)で学ぶような学校や動きも増えています。
高校に入学後、なかなか新しい環境になじむことができず、意欲を失ってしまう高1クライシスという現象があります。その原因として、生活面や学習面の大きな変化へのとまどいがあげられます。聖ドミニコ学院中学校には、同じ環境や同じ教育方針のもとで学ぶことによって、高1クライシスを回避しやすくなるというメリットがあります。その理由は、環境の変化がないことに加え、必要に応じて、同じ敷地内にいる教員同士が生徒の情報共有をスムーズに行い、対応することができるからです。
聖ドミニコ学院中学校
一例で引用した上記の聖ドミニコ学院中学校も中高一貫教育の形をとっており、中学校に入学すれば高校はそのまま同じ系列の高校に進学することになります。同じ系列であれば環境の変化も最小限で抑えられるため、高1クライシスのリスクも最小限に抑えられると考えられています。
高1クライシスは高校1年生に関する話ですが、同じようなもので中学校1年生に関する「中1ギャップ(中1プロブレム)」、小学校1年生に関する「小1プロブレム」という問題もあります。
環境の変化や心身の不調によって起こる点など基本的な考え方などはいずれも同じです。
「小 1 プロブレム」とは、1年生の学級において、入学後の落ち着かない状態がいつまでも解消されず、教師の話を聞かない、指示通りに行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩いたり教室から出て行ったりするなど、授業規律が成立しない状態へと拡大し、こうした状態が数ヵ月にわたって継続する状態をいう。
平成 28 年度~平成 30 年度 幼児教育の推進体制構築事業 成果報告 名張市教育委員会
中1ギャップも意味合いはさほど変わらないですが、文科省の「中1ギャップの真実」によると「定義があいまいなので、中1ギャップを安易に使うべきではない!」とする声もあり、扱いは慎重にした方がいい場合もあります。
高1クライシスに陥った場合に起こりうる問題点(リスク)は以下のようなものが考えられます。
中学校までは勉強が得意な人から苦手な人まで様々ですが、高校は基本的に自分と学力が近い人が集まることが多いです。まして進学校ともなれば勉強が得意な人がほとんどですからね。
つまり中学校と同じ感覚で勉強をしているとそれだけ成績(順位)も下がりやすくなるため、中学校以上にしっかり勉強する必要があります。
理科は「物理」「生物」「化学」「地学」などのように科目数が増えるためその点でも大変ですね。
進学校など学校によっては成績にシビアな学校もあるため、そのような学校だといづらさを感じることがあるかもしれません。
たとえば中学校は近所だったけど、高校が遠くなるなどしてその分早起きしなければいけないなど生活リズムが大幅に変わる可能性もあります。
公立の小中学校なら家と学校が近所や同じ地区なことが多いですが、高校になると市町村をまたいでの通学をする人も多いです。
また友人関係も高校進学にあたって一新されることも多く、高校の友人と上手くやれるかも高校生活を楽しむ上では重要になってきます。
これらに順応できれば問題ないですが、何らかの理由で順応できない人や順応に時間がかかる人もいます。
上記のつまずきが長期化したり深刻化すると欠席が長引き不登校につながる場合もあります。高校の場合は義務教育ではないため最終的に退学というケースもあり得ます。現状、高校を辞めるというのはハードルが高く令和2年度の調査で1%くらいとされています。
高等学校における中途退学者数は34,965人(前年度42,882人)であり,中途退学率は1.1%(前年度1.3%)。
令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
社会に出てからも会社を辞める(退職する)ケースはありますが、転職が一般的になってきている昨今では退職のハードルは徐々に下がってきています。一方で高校の中途退学は1%と割合が非常に少なく、万が一高校が合わなかったとしても他の高校に転向するなどと言ったことはいまだにハードルが高いです。
近年は不登校の数が増え続けており対策が必要とされていますが、不登校の受け皿の一つにN高・S高といった通信制の高校も出てきています。通常の高校と同じく通学するコースもありますが、オンライン主体で通学をほとんどしないようなコースもあるようです。特にオンラインであれば自宅で授業を受けることも可能なため、高1クライシスでよくある学校になじめるかの問題も最小に抑えられるかもしれません。
ただしカリキュラムが一般の高校に比べて自由が利く利点がある一方で、大学並みに主体性が求められるため本人がしっかり自己管理ができることは必須のようです。
またN高・S高でオンラインメインになれてしまうと大学進学や就職などにあたって対面でのやり取りが増えたときに適応できるかは未知数な部分も多いです。
学校 | 中学校(公立) | 高校(私立) |
---|---|---|
学習面 | 勉強が得意な人から苦手な人まで満遍なくおり、その中では上位層に入ることもあった。大きな成績の下落はなかった。 | 同じクラス・コース内は特待生や勉強が得意な人が多く中学よりハイレベル。油断するとすぐに順位を落とした。 |
生活面 | 少し荒れ気味の学年ではあった。家から徒歩数分の通学。 | 家からバスもしくは自転車で20~30分。中学と違いいわゆるヤンキー的な人はいなかった。私立だからか校則は少し厳しめ。 |
友人関係 | 仲の悪い人も多少いてトラブることもあったが、仲のいい友人とは良好な関係を築けた。良くも悪くもいろんな人がいた。メンバーが小学校とほぼ変わらないので小中学校はセットみたいな感じだった | 同じ中学校からの進学者が少なく友人関係はほぼリセット。最初はなかなか友達ができなかったが1人仲良くなってからはスムーズに友達が増えた。 |
僕の場合は高1クライシスで言われるような精神疾患や不登校など大きなトラブルはありませんでした。ただ中学とはガラッと環境が変わった点でいろんな面での変化は実感しました。
主に2004年の僕の高校入学時の話ですが似たような状況の方は今でもある程度参考になると思います。
中学校の時は塾に通っておりかつ割とハイレベルなのもあり、だいたい全体で中の上以上の成績(偏差値60台前半くらい)はありました。そこから頑張って私立高校の特待生として合格、入学しましたが、いざ入ってみるとクラスメイトには僕と同じ特待生がゴロゴロいました。
そのため入学直後の中学の復習テストまでは良い感じに点数・順位が取れていましたが高校の範囲が入ってくる5月の中間テストからは一気に成績を落としてしまいました。
中学まで大きく成績を落としたり成績が学年の平均を割るという経験がほとんどなかっただけに当時としてはショッキングな出来事でした。ただ幸いなことに先生から厳しいながらフォローはしていただいたり、クラスメイトもいじめてくるような人はいなかったためそこで中和されたかなという感じでした。
ただ成績を落とすとクラスが変わるのも嫌だったので、それ以降僕なりに必死に勉強し食らいつきました。
中学校は当時住んでた家から徒歩数分でした。そこから高校は自転車もしくはバスで2,30分かかるところだったので、中学と比べるとぐっと遠くなり通学にもそれなりに時間を割くことになりました。
ただ、中学校が8時10分登校に対し、高校は8時40分までに登校だったので、実際のところ起床時間などは高校に入っても大きく変わりませんでした。
とはいえ高校が中学まであまり行ったことないエリアだったため、高校入ってからしばらくは同じ水戸市内とはいえ「遠いなぁ…」と思いながら通学してました。
高校は水戸市内の私立とはいえ同じ中学校の人があまり行かない高校だったため友人関係はほぼリセットされました。初めて携帯電話を買ったのも中学を卒業した後で当時連絡先を交換した中学の同級生はごく一部でしたからね。
中学の同級生に関しては卒業後に会えた若干名の親しい人だけ連絡先を交換しただけでした。
そんなわけで高1のクラスも同じ中学校の人が誰もない状態で全員がはじめましての状態でした。僕は中3の1月の段階で進学先を決めていたため単願切り替えなどで早めに入学が決定した人を対象に中3の2月に開催された勉強会にも出ていました。一応そこでのちの同級生になるであろう人たちとは対面していましたが人見知りがかなり激しかったため一言もしゃべられないくらいでした。
そのため高1になって入学式の翌日に通常授業になっても友達がいない状態で迎え、昼食の時間もまわりが数人のグループを作っている中で僕が唯一一人ポツンとしている状態でした。ただ、それを見かねてクラスメイトが声をかけてくれてそのグループに入れてくれたおかげでその人とも仲良くなれてそれ以降は徐々に友達ができました。
ちなみに僕の高校は当時は特進コースと進学コースの大きく2コース編成で、あとは成績順によってクラスが編成されていました。コース変更もせず成績も一定以上は保ったので僕としてはクラスは変わらず高1のクラスメイトの半分以上は3年間ずっと同じクラスでした。
「クライシス」というワードは一般的には「危機」という意味で使われることが多いです。そのため高1クライシスというとネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれません。
ただ、「高校進学でつまずいたら」という本によるとクライシスという言葉は必ずしもネガティブな意味というわけでもないみたいです。
英語crisisの語源をたどると、良くなるか悪くなるかの「峠」あるいは「分岐点」を表すようなニュアンスもあるようです。どちらかというと私はこの意味で、高校進学は「クライシス」になりうる出来事だと説明しました。
つまり、高校に進学することは、良い方向にも悪い方向にも心が変化するきっかけになる出来事だということです。それ自体は良いものでも悪いものでもありません。思いのほか、ニュートラルな意味に感じたでしょうか?
実際、高校進学をきっかけに、大きくつまずいてしまう人もいますし、その逆で、中学校の時よりのびのびと過ごせるようになる人もいます。
高校進学でつまずいたら「高1クライシス」をのりこえる
僕も中学校よりは高校のほうがのびのび楽しくできましたし、一方で高校で悪い状況に陥った友人などもいました。
個人的な体感ですが中学校は特に公立だと画一的になりやすく学校ごとの差があまりないような気はしますが、高校は公立を含めてもかなり個性が出たり校風などに違いも出やすく私立は違いがより顕著なので、こういった変化の大きさはまさに「分岐点」になりやすいです。
高校での出来事は大学などの進学先やそのあとの就職先など後のことに影響を少なからず及ぼすため、大人になってから考えると高校の影響力は意外と多いと考えられます。
現状HSPと高1クライシスを組み合わせた研究はなく、「HSPだから高1クライシスになりやすい(もしくはなりにくい)」みたいなことは言えません。ただしHSPは環境感受性が高い人、つまり「良くも悪くも環境に影響されやすい人」とされているため学校生活において学校の環境や雰囲気に左右されやすい側面はあるかもしれません。
Rather, a strong vantage sensitivity model was revealed, suggesting that highly susceptible adolescents disproportionately benefitted from a positive school transition over their counterparts.
Highly sensitive adolescent benefits in positive school transitions: Evidence for vantage sensitivity in Japanese high-schoolers
(和訳:強力な視点感受性モデルが明らかになり、非常に感受性の高い思春期の若者が、対照群に比べて、学校への移行で大きな恩恵を受けることが示唆されました。)
HSP(感受性が高い)から学校が苦手とかははなく、感受性が高いからこそ環境が良い方向に変わることでより恩恵を受けやすいという研究結果もあります。感受性の高い人は周りの環境に気を配ったり、自分に合う環境や合わない環境を把握しておくことで上手く立ち回れるかもしれません。
ちなみに今回記事を書くにあたって参考にした本「高校進学でつまずいたら「高1クライシス」をのりこえる」の著者の飯村周平さんは日本で数少ないHSPの専門家(研究者)でもあります。
HSPもSNSでは「生きづらい」とセットで語れることが多いですが、HSPも本来はフラットな概念です。
高1クライシスというとクライシス(危機)というワードからネガティブなイメージを持ったり、高校に対する悪いイメージを連想する人もいるかもしれませんが、見方を変えれば高校は良くも悪くも人生においてそれなりに影響力のある期間とも言えます。
実際僕も今のフリーランスの活動においては友人や先生など高校の関係者にもお力添えをいただくこともあり、かれこれ20年くらいの付き合いがあります。
高校進学は不安がつきものですが同時に今後の人生の可能性を広げる場にもなります。不安ともうまく付き合いながら高校生活を楽しみましょう。
高1クライシスのポイントになるのが「環境の変化」。
実はHSP(Highly Sensitive Person)も「良くも悪くも環境に影響されやすい人」とされています。加えてHSP研究は教育と絡めたものが多く、HSPを知ることは教育を知ることにもつながります。
ただ最近のHSPはネット上に情報が溢れすぎて、正しい情報を見つけるのが難しくなっているのが現状です。
涼しく生きるでは毎月HSP勉強会を開催し、主に研究論文やそれに準ずるHSP情報を使い参加者に正しいHSPを認識させてもらうようにしています。
そうお考えの方はぜひHSP勉強に参加して質の高いHSPの知識を身につけましょう。
]]>ここ2,3年SNS上を中心に『HSP』というワードを見かける機会が増えたと思います。
ただ、気になるのがSNSを見てると
などネガティブなことも見かけました。HSPを発信する立場としてはショックと思いつつ、最近のHSPの情報を見てるとこう思ってしまう人の気持ちもわかります。
今回の記事ではHSPがどう見えるかを客観視しつつ、HSP周りにいる悪い人たちについて触れました。
個人的にまず気になったのが特にYouTubeにおいてHSPの人のことをHSP『さん』と呼ぶ人がかなり多いこと。ADHDなどの発達障害やうつ病などの精神疾患など心理学がらみで「さん」付けする事例を見たことがないので、HSPさんという呼び方には強い違和感がありました。
おそらく元ネタは繊細さんの「さん」であり、どこかでミックスしてHSP「さん」という呼び方が定着したのだと推測している。
しかし、この手の妙に優しいという生温かいというか、ネバっと寄り添うような呼び方は、私個人の感覚では
- 過剰に丁寧すぎて逆に不気味さが際立つ。
- 過剰に丁寧にしなければいけないほどに、取り扱いの難しいめんどうな人間だと思われている。(=不信感の強さの現れ)
と感じてモヤっとするのだ。
すごく感覚的なことですが、HSP『さん』という呼び名には僕も前々から違和感を感じており、まるで腫れ物に触るようなニュアンスと感じてしまいます。
HSP「さん」という呼び方がモヤっとする理由を語る
僕がHSPを発信しだした2018年ごろはHSPさんという呼び名も今ほどは見られずそもそもHSPの発信をしている人自体がまだ珍しかった時代でしたが、今はHSPの発信をしている人の多くはHSP『さん』と呼んでいますね。
HSP『さん』という呼び方はおそらく繊細さんの本が始まりだと思いますが、HSP以外にさん付けをする事例って意外と見たことがないので不思議なものです。
そうやってHSP「さん」と一見優しそうな感じですり寄ってくる人がいますが、ここ2,3年で様々なHSP(悪徳)ビジネスが誕生しました。僕が確認しただけでも以下のパターンがありました。
例えばXなどのSNS上では自らもHSPと称しているアカウントもいますが、よく見るとよくわからない情報商材へのリンクがついていることが多いです。
登録は無料の公式LINEだったので試しに登録したら、数日商材の意義を語られた末に最終的に6万円くらいの情報商材を売りつけられました。ちなみにどういう内容なのかは全く分からなかったです。
特に医療がらみは悪質性も高いと個人的には思っています。
いずれも相当な額のお金がかかります…。
特に不登校や公的なサービスや機関、カウンセラーも臨床心理士などちゃんとした資格を持っているところなら極端に高いことはないのですが。
特に不登校とHSPは因果関係があるかも実証はされてないので。
というのもHSPには精神疾患がらみでアプローチしている医療機関やカウンセラーが多いですが、精神疾患は最悪のケースとして自殺などもあり得るため半端な知識でやってほしくないです。
あるクリニックでは、HSPであることによって生じるうつ症状を「HSPうつ」と名づけ、磁気刺激療法による治療を勧めています。しかし、まず前提として、心理学でも精神医学でも「HSPうつ」という概念/疾患は存在しません。それゆえ、「HSPうつ」なるものが磁気刺激療法で改善するというエビデンスも全くありません。いくつかの医療機関では、HSP/HSCを「診療」「改善」することを謳った宣伝をしています。しかし、これは明らかに医療機関側でHSP/HSCを適切に理解できていないことを意味しますのでご注意ください。
HSP情報の誤解を紐解くHSPを専門とする心理学者による見解|Japan Sensitivity Research
TMS治療は、2002年にカナダで初めて承認された、多くの治療効果をあげている治療方法です。カナダの後は、2008年にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)でうつ病治療の医療器具として認可を受けました。うつ病の新たな治療法として、現在では広く世界に認知されている治療法です。
TMS治療(うつ磁気刺激治療)の効果とメリット・デメリット|うつ病ナビ
磁気治療は本来はうつ病の軽減に使われるそう。ちなみにHSPうつというワードは公式には存在しません。
HSP関連でもし困っている場合は、上記のような医療機関ではなくカウンセリングがオススメです。ただし、カウンセラーも「○○カウンセラー」という信用に値しないような肩書も無数にあります。カウンセリングで質を求めるなら「臨床心理士」「公認心理師」のいずれかは持っているカウンセラーにしましょう。
変な話ですが、肩書に「HSP」というワードがないカウンセラーの方が信用できます。
加えて気になったのが自らを「HSP」とアピールする人。おそらく
などの意図があると思います。逆にHSP以外の立場になって考えたときに、
みたいなことを言われた時に不快感を抱いたりモヤモヤしたりしませんか?
僕もHSPの発信をしている以上はHSP側の人間ではありますが、それでも「私HSPなんで~」みたく言われてしまうと、引いてしまったり、横暴さや悪い意味で図太さすら感じてしまいます。ちなみに僕の知人で発達障害の診断を受けた人が何人かいますが、その人たちは自分から発達障害ということはほとんどありません。
話の流れでたまに出てくるくらいです。
HSP、繊細さんアピールする人って一周回って図太い印象。
そしてこのように変にHSPを自称・アピールすることが発展してか、最近は『繊細ヤクザ』という言葉も出てきています。
特に最近注目されるようになったのが、一部のHSP自認者による過度に自己愛的なふるまいです。周囲にHSPであると公言している職場の同僚が仕事でミスをした際、あなたはアサーティブに(思いやりをもって)まっとうな意見を伝えるとします。すると、そのHSP自認者は「ひどく傷つけられた」と過度に被害者的な立ち位置をとり、攻撃的になったり、HSPであることを盾にミスを正当化したりするといったケースがあるようです。このような様子から、「繊細ヤクザ」といったネットスラングも生まれています。
また、一部のHSP自認者がもつ偏見や差別による軋轢にも注目が集まっているように思います。例えば「HSPは障害ではなく特別な才能」だと強く信じるHSP自認者の中には、いわゆる「非HSP」を無神経で理解できない人々だと蔑んだりするような発信もみられます。
なぜ「繊細ヤクザ」と批判されるのか…心が疲れやすく生きづらい「HSP」が大ブームになったことの功罪
特に「攻撃的な」という要素は非常に心当たりがあり、ときにはX上で僕はまだしも僕の知人にも嫌がらせをした人もいましたからね。ブラック企業、キャリア、メダカ、教育といろんな分野においてブログやSNSなどで発信していろんなアンチを見てきましたが、HSP関係の人が攻撃性だけならとびぬけて高いです。
僕がSNS上でHSP関係の人と積極的にコンタクトしないのは主にこれが理由です。
残念ながらHSPだから優しい人とは必ずしも言い切れないのです…。
(もちろん良い人もいますよ)
今回の話、HSPを最近知った人やHSPを自称している人には耳の痛い話かもしれません。ただ、俯瞰してHSPをあまり知らない人の立場で考えたらわかると思います。
「私HSPなので配慮してください」と言われてしまうと、ちょっとした傲慢さを感じますよね。HSPは本来闇雲にアピールするものではなく、知識として持ちつつ自己理解や支援に活かすものだと僕は考えています。
どうかHSPを変なことに使わず、正しい理解をしてほしいものです。
]]>などこういった文言を「HSPあるある」としてみたことありませんか?
僕は2018年にHSPを知りましたが、そのころからあるもので日々様々なあるあるがSNS上に見られます。
ただ、これらのHSPあるあるって実はHSP関係なく当てはまる人っていないだろうか?
HSPは遅刻しにくい。そのようなエビデンスはありません。しばしばネット上で「HSPあるある」として発信される情報の一つです。遅刻しにくいからといって、それをHSPと結びつけるのは不適切です。「HSPあるある」は、個人的な経験をもとに発信されることが見受けられます。その多くは研究的なHSPの考え方とは距離があります。ほとんど誰もが当てはまる内容もあり、自身の性格が言い当てられた感覚を覚えますが、それは心理学ではバーナム効果と呼ばれるものです。「HSPあるある」をもとに、自身がHSPであるかどうかを判断するのは留意した方がよいでしょう。
HSP情報の誤解を紐解く HSPを専門とする心理学者による見解|Japan Sensitivity Research
バーナム効果(バーナムこうか、英: Barnum effect)とは、星座占いなど個人の性格を診断するかのような準備行動が伴うことで、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分、もしくは自分が属する特定の特徴をもつ集団だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。
バーナム効果 Wikipedia
Xを中心にSNS上には「HSPあるある」と呼ばれるものがあります。
などがありますが、別にHSPに限らず当てはまる人はそこそこいませんかね?もしくは精神疾患系の人でよくある事案な気がします。
そしてこのような誰にでも当てはまるような話を心理学では「バーナム効果」というそうです。
他もそうですが、HSPあるあるというよりあくまで一定数は当てはまる普通のことなんですよね。
バーナム効果というと
みたいな血液型診断も同類になってしまいます。
血液型診断は学術的な根拠はないですが、HSPは学会などでの研究発表の実績があります。
ただ、精神疾患や発達障害などが数十年の研究実績があるのに対して、HSPはアーロン博士が世界で初めてHSPを提唱したのが1996年ごろなのでまだ20年ちょっとの歴史しかありません。
しかも日本でHSPの研究が始まったとなると、まだ数年から10年くらいと言われています。
海外は Sensitivity ResearchというサイトでHSP研究がまとまっていたりなど学術的な根拠もある概念ですが、まだ歴史が浅い点では学術的な実績も少なく、しかもそれが独り歩きして変なHSP診断テストなどが出てしまっています。
ただし、日本もJapan Sensitivity Researchのような日本のHSP研究をまとめたサイトも出てきたので今後に期待。
HSPを知って間もないころは一度は「HSP診断テスト」をやったことがあるかもしれません。
無料でできて、質問に答えるだけでHSPかどうかがわかるらしいもの。
率直に言うとネット上の大半のHSP診断テスト、チェックリストは信用できないです。
というのもHSP診断テストが公式には存在せず、研究論文上では「HSP尺度」という名前で存在しています。
環境感受性の気質的側面(感覚処理感受性)を測定するための日本語版HSP尺度を紹介します。著作権の関係上、尺度の項目は全て記載しません。詳細は元の論文をご覧ください。なお、英語版の尺度については、こちらのサイトで知ることができます。※HSP尺度は、HSPであるかどうかを「診断」するものではなく、またその基準もありません。
環境感受性の心理尺度|Japan Sensitivity Research
「尺度」自体はチェックリストに近い意味ですが、HSPかどうかを判断するものではなくあくまで参考程度の意味合いが強いです。
しかしそれが独り歩きして、ネット上の多くのHSP診断テストやチェックリストが「〇個以上当てはまったらあなたはHSP(もしくはHSPじゃない)」などとしてしまっています。
上記のようなHSPを発信するサイトでは研究知見を無視して、サイト運営者が独自にHSP診断テスト・チェックリストを作成、公開しているケースもあります。
上記の画像はHSE型HSP(外向的なHSP)のチェックリストですが、HSE型HSPはそもそも学術的に実証された概念ですらありません。実質このサイト運営者がエビデンスもなく勝手に提唱してるようなものです。
独自にHSP診断テストなどを作っているのはもはや論外なので、見かけてもスルーしましょう。
例外としてはアーロン博士や論文などを引用していることですが、ほとんど見たことはありません。
このようなネット上のHSP診断テストは以下の記事でより深く考察しました。
実はアーロン博士のサイトがあり、そこに27個のチェックリストがあります。
サイト上では27個中14個以上当てはまったらHSPの可能性が高いとされていますが、HSPの提唱者アーロン博士が作ったものなので、一定以上の信用はできると思います。
ただし、最近はアーロン博士以外の研究者が主流ですし、アーロン博士のチェックリストをもとに新しいチェックリスト(尺度)も出てきています。
多少情報は古いですが、下手にネット上のHSP診断テストを使うよりはよっぽどマシですね。
手軽なので論文でハードルが高いと思ったらとりあえずこのチェックリストでいいかと。
また、アーロン博士に関しては上記のチェックリストに加えて『DOES』の概念まで理解できたらOKですね。
そして2022年には日本でHSPを研究している飯村周平さんらによって日本人向けの新たなHSP尺度の論文が発表されました。
論文によるとアーロン博士のチェックリストの27個の項目を新たに統計などをし直したら、HSPとあまり関係なさそうな項目もあったそうでそれらを削除し項目を10個に絞りました。
ちなみにその10個の項目は以下の通り。
たとえばアーロン博士のチェックリストにはあった「カフェインは苦手ですか?」はこの論文では除外されています。
HSPとカフェインの関係性は論文をもとに以下の記事で考察しました。
改めて統計を取ったら「HSPと関係なくない?」となったみたいです。
ちなみに僕は上記の項目は10番以外は全部当てはまるのでHSPの要素は強い方と思われますが、コーヒーは普通に飲めます。
こちらは〇個以上でHSPなどは特になく、どれくらい当てはまるかを見るもの。
あくまでHSPの要素がどれくらいあるかってことですね。
HSPあるあるなようで実はHSPじゃなくてもあることがけっこう多いので、実は僕も最近は自分から「私HSPなんです」みたいなことは言わないようにしています。
HSPだからどうこうというのはない。
HSPを通じて自己理解を進めたり、支援活動に活かしてほしいものですね。
]]>2020年以降、HSPがWebメディアやSNSを中心に広く知れ渡り、良くも悪くもHSPを知る人が増えたと感じています。
HSPを発信している僕に「HSPの卒論を書きたい!」という大学生からの相談を受けることもありました。
という人も増えている印象で、HSPを学ぶ手段の一つとして「大学でHSPを学ぶ」という人も今後増えると考えられます。
僕もHSPを卒論で扱う大学生の相談に乗ったり、HSPの研究者のセミナーなどに出て最新のHSPの研究情報に触れてきました。その中で調べた「HSPを学ぶために知るべきこと」「HSPを学べる大学」をまとめました。
HSP(Highly Sensitive Person)は1990年代にエレイン・N・アーロン博士が提唱したもので、歴史は20年ちょっと。
日本でHSPの概念が本格的に入ってきて研究されたのは2015年ごろからといわれているため、概念としてはかなり歴史が浅いです。そのため日本国内でHSPを研究したり、HSPを扱っている大学が少ないですし、そもそもHSPの研究者が日本ではまだ数名~10名前後しかいないのが実情です。
大学の授業でHSPが取り上げられることはあるのでしょうか? これもサイト運営者の知る限り、授業でHSPを取り上げる大学の先生は現状でほとんどいないと思っています。
08大学でHSPは学べるか?|Japan Sensitivity Research
大学の卒業研究でHSPをテーマにしたい人は、基本的には、大学の授業で心理学の知識やスキルを身に着けて、それをもとにHSPの論文を読んだりしながら進めていくことになると思います。
HSPを普段の大学の授業で学ぶのは難しいですが、HSPは心理学の一部ですし脳科学や神経、ホルモンなど他の分野も絡んできます。HSPだけでなく心理学全般や脳科学などを学ぶことが、結果的にHSPの理解を深めることにもつながります。
僕も当初はHSPのみで考えていましたが、HSP以外の心理学や遺伝子、神経などの知識も入ったらHSPの研究論文で書いてあることもかなり理解しやすくなりました。
補足
世界的に見れば、日本よりアメリカやヨーロッパなど海外の方がHSPの研究が進んでいたり、研究者も多いです。
直接海外に行くことはないにしても、卒論の参考文献として海外の英語の論文を使うことは避けては通れないので、余裕があれば海外のHSPの情報も集めておくことをオススメします。
なお、海外のHSPの情報については『Sensitivity Research』というサイトにまとまっています。
そもそも日本国内のHSPの論文がそんなに多くないですからね。
僕がHSPの発信をするうえで最も参考にしている方。TwitterでもHSPに関する発信をしていたり、日本で唯一の研究にもとづいたHSPの情報サイト『Japan Sensitivity Research』を運営しています。
元々教育関係の話も多いため、HSPと教育をかけ合わせた話や研究が多い印象です。主に発達心理学や環境感受性の観点からHSPの研究や発信をしています。
2022年11月にHSPの本を出版されました。
研究論文をベースにしているので、卒論にも使えるくらい質が高い本です。
さらに2023年1月には「HSPブーム」に特化・考察した本も出版されています。こちらはHSPの研究知見というよりはメディアやHSP関係者への問題提起の内容が多かったです。
HSPを研究している数少ない研究者の一人で「繊細な心の科学」という本も出版されています。心理学のHSPを研究しながら、文学部の所属ですがHSPに関する研究論文も出されています。飯村さんは主に教育や発達心理学の観点からの視点が多いですが、串崎さんは臨床心理学の観点という違いはあります。
臨床心理学をメインに研究されている方で、臨床心理士と公認心理士の資格も持っています。HSPの研究では小学生向けのHSP(HSC)チェックリストや中学生・高校生を対象にしたHSPチェックリストも研究論文内に掲載されています。平野さんの研究論文を見ていると『レジリエンス』というワードが多いです。
レジリエンスは飯村さんなど他の研究者も言及していることから、HSPにおけるホットワードな立ち位置とも考えられます。
レジリエンスとは、『逆境から素早く立ち直り、成長する能力』と心理学では定義づけられています。
折れない心、しなやかさなどのニュアンスでも用いられます。
良くも悪くも環境に影響されやすいHSPとセットで語られることも多く、HSPとも親和性が高いようです。
岐部智恵子さんは教授や講師といった大学教員とは一線を画す所属みたいなので、学生が直接卒論などを教わるという感じではないかもしれません。ただHSPの研究者を調べると、よく名前が挙がるので挙げさせていただきました。
感覚処理感受性、首尾一貫感覚、ストレス対処を主に研究しており、HSPも主な研究テーマとして挙げられています。研究発表、学会発表にも意欲的なようで、レベルの高いHSP研究に触れることもできそうです。
大学は「心理」「教育」「人文」系統の学部だとHSPは学びやすいみたいです。もしくは飯村さん(創価大学)や串崎さん(関西大学)などのHSPの研究者のいる大学・学部に進学するのも一つの手です。今はまだ、HSPが日本で研究され始めてから日が浅いため、HSPを学校で体系的に学べる場も非常に少ないです。
書籍も売られていますが質がピンキリで特に卒論以上のレベルだと、大半のHSP本はエビデンス(根拠)などの面から卒論の参考文献としては使うに値しません。
むしろ学術的な面のHSPについて書いてる本が非常に少ないです。
現状売れてる本、ベストセラーの部類に入る本はほとんどが質が低いです。まだ少ないですが、
あたりを選ぶようにしましょう。逆に
あたりはHSPの専門家ではないですし、学術的なエビデンスに欠けるなどの点からオススメできません。
では、『卒業論文』でHSPを扱った例はあるのか?
の系統の学部が多い印象です。
大学・学部としてHSPに取り組んでいるというよりは、学生が単体でHSPを扱ったものがほとんどです。
2020年度にHSPを卒業論文で扱った学生がいたそうで、その論文をベースに作った新たな研究論文が掲載されています。
日本ではHSPの研究が始まってまだ数年しかたっておらず、わかっていることも意外と多くありません。HSPを大学で勉強、研究するには今のところは心理や教育、人文系の学部に進学するかこの記事で触れた研究者・教員のいるところに進学するのが現実的かと考えられます。現在ネット上にもHSPの情報はたくさんありますが、大半はあからさまに間違っているなど質が悪くゆがんでHSPが伝わってしまっています。
一人でも多くの方がHSPを正しく学んで、正しいHSPの認識が普及できればと思います。
]]>2022年4月9日土曜日に教員向けオンラインコミュニティ「学校&教育Update Group」内で開催されたHSPオンライン講座に講師として登壇してきました。
僕がブログやSNSでHSPを発信し始めた2018年は、まだHSPもそこまで知られておらずTwitterでHSPの発信をしている人を見つけるのも苦労したくらいでした。それが2020年にコロナ禍に入ったころを境にSNSはもちろん、テレビなど各種メディアでHSPが取り上げられる機会が増えてきました。
それに伴ってか、学校内でもHSPが話題になることが増えたようで保護者から教員へ「うちの子、HSPなんですけど…」といった相談も増えてきたようです。講座は主に学校の教員20人ほどの参加でしたが、講座開始時にHSPを知ってる人を尋ねたらほとんどの人がHSPを知っており、自分の想像以上にHSPが学校現場にも浸透していて驚きました。
同時に教員も保護者もHSPをちゃんと理解してる人が少ないため、どう対応すればいいか苦慮している感じでした。
大きく分けて2部構成で、『HSPとは?』『HSP×教育(学校におけるHSP)』について解説しました。内容は、
といった感じで、ネット上でよく見かける情報ではなく研究論文をベースに『本来の』HSPを伝えることに注力しました。
SNSでよく見るHSP診断テストが実は良くない話、HSPだから(必ずしも)不登校になるわけではない、など一般に出回っている情報と逆の話も多く、参加者が驚いた部分も多かったです。
研究論文をベースにHSP交流会などHSPのイベントをやってるのは研究者を除くと僕だけかもしれません。
単に僕が話すだけでは面白くないと思い、講座の途中で「HSPと発達障害の違い」について参加者同士でディスカッションをする時間を取りました。ただ、違いといっても難しいところでたとえばHSPでよく言われている「音に敏感(大きい音に不快感を覚えやすい)」は発達障害特にASDでも見られる特徴とのことで、実はHSPも発達障害も表に出る特徴などは近い部分もあります。
そのため、表面上のHSPと発達障害の違いを説明するのは現時点ではかなり難しいと感じました。このことから、HSPの子どもに対して教員など大人ができることはHSPだからどうするではなく、「その子の悩みに対して寄り添う、アプローチする」のが今のところはいいのでは?という結論になりました。
参加者の一人が「安心・安全な場づくり」とおっしゃっていましたが、これはすごくいいと思いました。
とにかく想像以上に教員の皆さんがHSPについて知ってる人が多く、学校現場でもHSPというワードが出てくる場面があって驚きましたし、それだけHSPが知れ渡っていると改めて実感しました。ただ、HSPの情報量が多いわりに質の高い、ちゃんとした情報は一握りなのが現実。
僕のほうでも定期的にHSP交流会(勉強会)を開催していますが、HSPについて正しい認識が広がればと思います。
HSPの講座の依頼もお待ちしております