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部活動が原因で不登校になる?研究論文を使って解説

部活動で不登校になる

著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー

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HSP勉強会などでHSPの話をする中で必ずと言っていいくらい話題になるものの一つが『不登校』。

「HSPだから不登校になりやすい」というのはエビデンスに欠ける話ですが、HSPの論文で不登校に関する言及もあるので全くの無関係とも言えないかもしれません。僕は不登校の経験はないですが中学時代に部活動が苦痛で学校も嫌々行ってた時期もありました。もしかしたら部活動が不登校の要因の一つになっているのではないか?

そこで今回は部活動と不登校の関係性について研究論文を用いて考察・解説をしました。

なお今回の記事の内容は山梨大学大学院と岩見沢市立総合病院による論文「部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究」をベースに書いています。

記事の内容をYouTubeでも簡略に解説しています

部活動がもとになって不登校につながるケースもある

ここ数年、不登校の子供の数は増え続けており学校や行政などが対策を講じてはいます。では不登校であったり学校に行きたくなくなる原因はというとかなり多岐に渡るようで一概にこうすればいいとはいきません。僕の知人でもお子さんが不登校という方は何人かいますが、話を聞いてる限り不登校の原因や背景なども全員バラバラで目立った共通点はない印象でした。

「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は「先生のこと」(小学生30%、中学生28%)、「身体の不調」(小学生27%、中学生33%)、「生活リズムの乱れ」(小学生26%、中学生26%)、「友達のこと」(小学生25%、中学生26%)など、特定のきっかけに偏らず、そのきっかけは多岐にわたる結果となった。

【概要】不登校児童生徒の実態調査結果

ちなみに僕は学生時代に不登校になったことはなかったですが、強いて言えば中学生の時は学校に行くのが苦痛に感じた時期もありました。その原因が『部活動』。上記の文部科学省の調査では部活動と不登校の関連性については言及されていませんでしたが、部活動が発端になって先生との関係性や体の不調、友達との関係などに良くも悪くも変化が起こるのはありえます。

ただ部活動に関しては顧問の体罰や体罰などによって生徒が自殺するなどの問題も生じており、現在は部活動を地域移行するなどの動きも出ています。そもそも部活動自体が教員にとっても生徒にとっても制約が多いもので、海外と比べても日本の部活動のシステムは独特なようです。

,①事実上,生徒全員の入部が義務づけられている学校が多いこと,②事実上,全教員が顧問になることが義務づけられている学校が多いこと,③担当する部の競技や種目等に関する知識や経験が顧問にないことが珍しくないこと,④授業期間中,休日,長期休暇のいずれにおいても活動の時間が非常に長いこと,などが特殊な例としてあげられる

部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究

もちろん部活動による人格形成や運動能力の向上などメリットもありますが、同時に最悪のケースとして自殺であったり不登校や学校自体が苦痛になってしまうこともあるのも事実のためそもそもの部活動のあり方なども見直されつつあります。

涼太
涼太

特に運動・体育は子どもによって好き嫌いや得意苦手がハッキリ出やすいですからね。

部活動で不登校になる流れ

では部活動においては実際にどんな流れで不登校になってしまうことがあるのか。山梨大学大学院と岩見沢市立総合病院の研究では以下の流れがあると考えられました。

  • 過度な練習とプレッシャー
  • 部活中心の学校生活
  • 親からの過度な期待とプレッシャー
  • 相談できる相手がいない

特にこれらに心当たりのある親や教員は気を付けてほしいと思います。

過度な練習とプレッシャー

論文中では過度な練習量にも触れていました。論文中の事例としては顧問に「校庭を100週走れ」と命じられたことが挙げられていました。おそらく顧問も半分ジョークのような意味合いで言ったかもしれませんが、顧問と生徒という関係上どうしても真に受けてしまう子は多いです。そもそも学校の部活動はスポーツ少年団などと違い運動が得意な子だけでなく苦手な子も一定数いるため一律に過度な練習をさせるのは望ましくないとされています。

適度な運動は個人によって異なるので,一律に同一の運動を強いたり,一律に過度に体に負荷をかけたりすることは,起立性調節障害でなくても望ましいことではない。ほとんどの部活では希望者全員が入部できる仕組みになっていることをふまえれば,部活には技術的にも性格的にも多様な生徒が参加することが見込まれ,本来であればそのことを学校や顧問は折り込んでいなければならないはずである。にもかかわらず,典型的な部活は教室での授業に比べても規律が厳しかったり,指導者からは一律に高い目標が掲げられたり,さらには暗黙の規範がいくつもあったりすることも多く,多様な個性に対する寛容性が低くなりがちである。

部活が中学生を不登校へと追い詰めるプロセスに関する事例研究

スポーツ少年団であれば運動が得意なが多いですが、学校は多様な子が集まるので部活もそれだけ多様性に沿った内容である必要がありますね。

涼太
涼太

ちなみに僕は連帯責任などによる罰走で走り過ぎでひざを痛めたことがありました。6月の蒸し暑い時期に熱中症になりかけながら2,3時間ずっと走っていたこともあります。今ならおそらく大問題ですが。

部活中心の学校生活

特に運動が得意な子や高校入試でスポーツ推薦などを見越しているような子は部活中心の生活になりがちだと思います。僕も昔塾講師で中学生を担当していましたが、部活をバリバリやっているような子だと部活を最優先で日程を立てる子も多いため、塾よりも部活動を優先する子もいました。

もちろん部活動が上手く回っている分には問題ないのですが、場合によっては自由時間が減ったり部活以外の活動の機会損失なども考えられます。

涼太
涼太

部活も大事ですが、学校外も含めていろんな経験をしてほしいと思います。

親からの過度な期待とプレッシャー

また親からの過度な期待やプレッシャーが子どもの負担になることもあります。論文中では双子の兄との『比較』も取り上げられていました。双子の兄も同じ部活に所属していましたが、兄の方は顧問の言うことも適度に受け流すなど上手くかわしながら部活に望めていました。一方で本人はそうはいかず顧問の言うことを真に受け過ぎてしまい、また親が兄弟で比較をしてしまったことで、プレッシャーになってしまった部分もあります。

この点は「兄が大丈夫だから弟も大丈夫だろう」みたいな考えもあったかもしれませんね。

涼太
涼太

今回の件に限らず兄弟で過度に比較してしまうというのはあるあるかもしれませんね。

相談できる相手がいない

そしてこのような部活など学校でのことは相談できる相手を作りづらいです。論文中では顧問はもちろん担任の先生も顧問と同じスタンスであったため相談ができませんでしたが、養護教諭はしっかり話を聞いてくれたとのこと。

また、空手教室に通うになりそこで自分を見つめ直したりして空手教室には積極的に通うようになり、その過程で心身の状態も良くなり、高校進学後には通常通り通学できるようになったそうです。

涼太
涼太

学校は閉鎖的な環境なことが多いため、この空手教室のように外での出会いも重要ですね。できれば学校内でこのような出会いや場所があるともっといいのですが。

【経験談】中学のテニス部が苦痛だった

僕は中学生の時はソフトテニス部に所属していました。総体のあった中3の6月までやり抜きましたが、特に中2以降がかなり苦しかったです。

中1の時はまだ楽しかった

中2以降は苦しかったと書きましたが、逆にいえば中1の時は大きな問題はありませんでした。もちろん運動部特有のハードさなどはありましたがあくまで許容範囲内と僕は思ってましたし、キツイときはキツイが楽しいときは楽しいという感じでメリハリがついていました。

おそらくこの状態が続けば部活が苦しいとは思わなかったかもしれません。

中2になり顧問が変わったら雰囲気も一気に悪くなった

そして問題の中2。まず起こったのが顧問の変更でした。中1の時の顧問が異動により別の学校に赴任になり、代わりに元々剣道部の顧問をやっていた先生がテニス部の顧問になりました。

そこからは度を超えた厳しさで若干ですが体罰もあったり、何かあればひたすら罰走もあったりなど。さらにそれに伴って部内の雰囲気も悪くなって、僕に関しては同級生などからいじめっぽいことも受けていました。この新顧問による「恐怖政治」のような雰囲気の中での部活だったので、20年たつ今でもいい思い出がほとんどありません。

当時(2002~2003年)は今ほど不登校も一般的ではなかったですし、退部や転部も珍しい、そもそも部活に属さないのはあり得ないという暗黙の了解などもあり辞めるに辞められないような雰囲気でした。クラスや部活以外の友人関係が悪くなかったり部活動以外は楽しかったのがせめてもの救いでした。

涼太
涼太

余談ですがこの顧問は僕が中3ときの秋という中途半端な時期に突然学校を辞めました。数年前に中学の同級生から真相を聞きましたが良からぬことが裏であったようです。

元々強豪校だったのに

そんな僕がいたテニス部ですが元々地区大会ではほぼ無敵、僕が中1の時は団体戦で県大会出場、個人戦で関東大会に行くなどそれなりに強豪校でした。

それが中2になって顧問が変わってからはガラリと変わり、特に僕の学年は団体戦、個人戦とも地区大会敗退という結果でした。(しかも僕の学年は半分くらいがスポーツ少年団にも所属)

この経験から顧問の良しあしが部活の単純な強さにもつながると思いました。

部活動を引退してからはすごく楽しかった

そんな感じで地獄のような中2から中3にかけての部活動でしたが、部活動を6月に引退してからは高校受験を意識して勉強に励むことになります。

塾にも行っていたため勉強はそれなりにハードでしたが、塾のない日は家でゲームしたり友達と遊んだりと楽しめました。部活引退以降は受験勉強がメインの生活でしたが、それでも部活動がなくなっただけでも精神的にだいぶ楽になり残り少ない中学生活を楽しめました。

涼太
涼太

勉強するときはして遊ぶときはしっかり遊ぶという感じでメリハリのついた生活でした。

まとめ

記事のまとめ
  • 部活動がもとになって不登校につながるケースもある
  • 部活動による不登校の要因は過度な練習や、親からの過度な期待、相談できる相手がいないなどがある
  • 顧問次第で部活動の楽しさは変わる

不登校の要因には様々な要素がある中、今回は不登校に焦点を当てて解説しました。不登校の要因は様々ですが、その中の一つに部活動があるのも間違いないと思います。

部活動で悩んでる人の悩みが少しでも和らぐことはもちろん、学校や教育委員会などにはぜひ部活動のあり方などより根本的なことから見直してほしいと思います。

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