著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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「HSPはマルチタスクが苦手」
こんな文言をネット上で見かけませんか?
僕も2018年にHSPを初めて知った時に見たブログ記事でまさに「HSPはマルチタスクが苦手」ということが書かれていました。
「HSPはマルチタスクが苦手」は本当なのか?
主にHSPの研究知見と脳科学の面から考えてみました。
HSPとマルチタスクの関係性
マルチタスクとは、複数の作業を同時並行、短期間で切り替えながら同時進行で行う能力のこと。
マルチタスクとは? メリット・デメリット、シングルタスクとの違い、苦手な人の特徴、効率よく行う方法について
マルチタスクとは同時並行や短期間にいろんなことをテキパキやるような状態・能力のことですね。
結論から言うと『HSPがマルチタスクが苦手、ということは実証はされていない』です。
マルチタスクに限りませんが、「HSPだからこれが苦手」というのはそこまでありません。
例えば「大きな音が苦手」ともよく聞きますがHSPとは別に発達障害が絡んだり、元々HSPとは別に感覚過敏だったりなどがあります。
大きな音が苦手というのはASDの特徴でもありますからね。
ただしHSPの研究論文の中に、マルチタスクという文言は使っていないもののマルチタスクに近い意味合いの話はありました。
一度にたくさんの事が起こっていると不快になりますか?
いろいろなことが自分の周りで起きていると,不快な気分が高まりますか?
一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成|
髙橋亜希 中京大学大学院心理学研究科
この研究論文は元々アーロン博士が作ったHSPチェックリストを2016年に日本の研究者の高橋亜希さんが日本向けに改良したものです。
19個の質問項目がありますが、そのうち4つでマルチタスクに近い意味合いの項目があります。
あくまでHSPがマルチタスクが苦手とは断言してはいませんが、この論文やアーロン博士のチェックリストを見ているとHSPはマルチタスクが苦手という印象も持つかなと思います。
人はマルチタスクが苦手
ご近所に神経科学者が住んでいたら、マルチタスクと脳の関係について訊いてみると良い。「脳は1つのことにしか集中できない」と、かれらは証言してくれるはずだ。
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
現実には、脳は一度に2つ以上のことに集中できない。そのうえ、注意をあちこちに向けていると、効率が落ちる。
脳の構造上、人は一度に複数のことに集中するなど『マルチタスク』は本来苦手にしている、できないようになっています。
もっといえば理論上はマルチタスクは『存在しない』とも言われ、厳密にはマルチタスクではなく『タスク・スイッチング』という注意を向ける先を短時間で変えているだけとも言われています。
これからはシングルタスクがオススメ
そこで推奨されるのが「シングルタスク」という考え方。
シングルタスクは1つの業務や作業(タスク)が完了してから、ほかのタスクに着手する仕事の手法です。1つずつ進められるので、他のタスクのことを気にせずに集中できます。
シングルタスクとは?業務の生産性をアップさせるコツを紹介!LIFE STYLE
同時に複数のことをせず、1つずつ物事をこなしていく手法のこと。
どうしても現代、特に仕事においては『マルチタスクが美徳』とされがちですが、脳科学の観点ではマルチタスクは効率が良くないですしそもそも脳がマルチタスクができるしくみになっていません。
シングルタスクは世間一般が良しとする考えからすると逆ですが、実は脳科学で考えると合理的だったりします。
シングルタスクで心掛けること
僕はフリーランスですが良くも悪くもスケジュールは自分でどうにでも調整できます。
スケジュールをゼロにもできますし、詰め込もうと思えばいくらでも詰め込むこともできます。
でもスケジュールを詰め込み過ぎることで『一つ一つがいい加減』になったりしませんか?
例えば予定を入れすぎたがゆえに、とある予定を忘れてすっぽかしてしまうとか。
特にフリーランスの場合、1度予定をすっぽかしてしまうだけでも信用に大きな傷がつくためあってはならないことです。
目の前の予定を着実にこなしたいところです。
今やだれもが持っているであろうスマートフォン。
時には仕事の電話やメール、友達からのメールやLINEなどの連絡や通知がひっきりなしにくることもあるかもしれません。
例えば、あなたが誰かの相談を受けていたとしてそのときにあなたのスマートフォンの通知が鳴りました。
それに目を向けてスマートフォンの操作をし出すと相談していた方はどう思うでしょうか?
細かいことですが、こういう小さなことでも信頼関係にヒビが入ることはあります。
目の前のことに集中する意味でも、一時的にでも良いのでスマートフォンの通知は鳴らないようにしたり、緊急の用事以外はスルーして目の前のことに集中してみましょう。
シングルタスクのポイントは「いかに目の前の物事・人に集中できるか」
僕の周りにもマルチタスクに陥ってる人は多いですが、その人達を見てると意外とその日のスケジュールをちゃんと把握してないことが多いように思います。
そのためシングルタスクを行う上では朝の段階でその日のスケジュールを確認する必要があると思います。
こうすることで少しでも受け身ではなく、『先を見越しての行動』もとれるようになるので、スケジュールをちゃんと把握したりその日の計画も立てやすいと考えられます。
まずは朝起きてからのスケジュール帳の確認をルーティンにしても良いかもしれません。
僕の場合は朝のスケジュール確認はしますが、さらに夜寝る前に翌日のスケジュール(Googleカレンダー)に目を通してから寝るようにしています。
作家のローラ・バンダーカムが指摘しているように、「多忙」であることと「自分は重要な人間である」という認識には、強い相関関係がある。「過労と睡眠不足を嘆いてみせることで、自分が必死にやっていることを証明したいのだ」
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
マルチタスクに陥る人の多くはいわゆる『多忙』であることが多いです。
なかなか連絡がつかなかったり、連絡がついたとしてもスケジュールの都合が合わないことも多い。
実は多忙な人、マルチタスクをやってる人は自分が多忙であることに『酔っている』のではないでしょうか?
『多忙・マルチタスク=成果が出る』とは必ずしもなりません。
実は多忙であることはあなたが重要であるよりも、あなた自身の『能力不足』から来ているものです。
フリーランスになる前も含めて約5年ほど全国のフリーランス・経営者を見てきました。
実は『できる人』ほど意外と『ヒマ』だったりします。
マルチタスクは信頼されない
相手に100%集中できていないとき、たいてい人はマルチタスクを試みている。ほんの数分、目の前の相手に集中するほうが、複数の作業を試みながら1時間に及ぶコーチングの講習会を受講するより、よほど効率がいい
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
日常生活も仕事もそうですが、相手に信用されるのに一番必要なことはスキル以前に『いかに相手に集中しているか』だと思います。
僕も会社員時代に信用できる上司、信用できない上司がいましたが、違いとしては仕事ができるかどうかよりもいかに自分に対して『真剣に向き合ってくれたか』だと感じました。
信用できる上司はどんなに忙しくてもなんとか時間を作って相談に乗ってくれたりアドバイスなどをくれました。
信用できない上司も結果的にアドバイスなどはくれましたが、他のことも頭にあるのかどこか『心ここにあらず』な状態にも見えました。
信頼関係を築くカギは、『目の前の人に集中できるか』ですね。
どんな働き方をするにしても、重要になってきそうです。
仕事も生活もこれからはシングルタスクの時代
- 「HSPはマルチタスクが苦手」とはいうが、人は元々マルチタスクができない
- 脳科学的にもマルチタスクは効率が悪い
- シングルタスクはマルチタスクの逆で物事を一つずつこなす。マルチタスクより効率が良いことが多い
- 予定を入れすぎないことでマルチタスクになる要素を減らす
- スマートフォンなどの通知をオフにすることで余計な情報を遮断する
- 多忙は能力が高いのではなくスケジュール管理の怠慢の証
- マルチタスクをすると目の前の物事や人がおざなりになりがち。マルチタスクをしたために信用を失うこともある
元々『HSP』と『マルチタスク』の関係から書いた記事ですが、実際のところそこまでHSPは関係ありませんでした。
むしろマルチタスクができる人なんて人はほとんどいません。
そのためHSPにこだわる必要はないですが、一方でマルチタスクによる弊害も多いので可能な限りマルチタスクの要素を減らした方が良いと思います。
特に僕みたくのんびり・マイペースに生きたい方はシングルタスクの考え方はかなり相性が良いと思うのでオススメです。