著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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HSP周りでカウンセラーを名乗る人を時々見かけます。
特に『心理カウンセラー』を自称する人が多い印象ですが、心理カウンセラーという名称は特定の資格名を指すものではなく、いろんなカウンセラー資格をひっくるめて使われています。
カウンセラーの資格も公認心理士という国家資格から、臨床心理士みたく学歴が要求されるもの、講座を受ければ取れる資格などレベル感も様々です。
国家資格だろうと講座を受ければとれる資格だろうと『心理カウンセラー』を名乗ってる人はいるため、分かりづらいし区別すべきでは?と個人的には思いました。
そんな分かりづらい『心理カウンセラー』について、今回の記事では考察しました。
心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーとは心に悩みを抱えてる人、精神を病んだ人などの相談に乗ったり心理療法を駆使することで解決やその手助けをする専門職を指します。
『心理カウンセラー』は特定の資格名ではなく、様々なカウンセラー系の資格を総称して心理カウンセラーと呼ぶことが多いです。
言い換えれば、国家資格である公認心理士や権威性のある臨床心理士であろうと、通信教育ですぐとれる程度のカウンセラー資格、無資格の人まで『心理カウンセラー』と名乗っている人がいます。
良くも悪くも『心理カウンセラー』という名前は使い勝手がいい…。
実はカウンセラーを名乗るうえでのルールはないのです。
心理カウンセラーになるための資格について
心理カウンセラーになるための細かい条件は資格により異なりますが、たとえば臨床心理士や公認心理士は以下の条件が必要です。
- 大学と大学院で心理学を学ぶ必要がある(必要な科目を修了する)
- もしくは大学を卒業後に就職し、特定の施設で2年間の実務経験を積む
- このどちらかを経て受験資格が得られて、試験を受けて合格する
学歴が必須になるため資格としてのハードルはかなり高いです。
臨床心理士の受験資格だと、
〈主な受験資格〉
●指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
●臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
●諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
●医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者 など
受験資格|日本臨床心理士資格認定協会
とあり、少なくとも『大学院を出ていること』は必須です。
一方他の多くのカウンセラー系の資格は、学歴が不問で通信教育であったり試験があるとしても在宅で済むものが多いです。
このレベルだと心理学を専攻していない僕でも、お金を払って勉強をちょっと頑張れば合格できます。
元塾講師で勉強はそれなりにできるので、正直僕だと楽勝です(笑)
また『養成講座』がある資格もあります。
例えばHSPカウンセラーでは『HSPカウンセラー養成講座』があり、講座をすべて受ければ試験もなく自動的に資格付与となります。
講座にもレベルや種類がありますが、
- 基礎講座。1日で2万円くらい
- アドバンス講座(中級)。3日くらいで3~5万円くらい
- 公認カウンセラー、上級カウンセラー。1週間くらいで10万円~30万円くらい
が相場という印象です。
養成講座といえば産業カウンセラーという資格も養成講座はあるため、講座を受ければ学歴などは関係なく取得が可能です。
そのため資格そのもののレベルでいうと微妙な感じがありますし、それでカウンセラーをやっていることにも疑問を覚えます。
ただし産業カウンセラーは例外で、
- 養成講座の期間がけっこう長い(6か月か10か月。全189時間)
- 講座の修了条件として、面接課題やレポートの提出、確認テストで一定以上の評価が必須
- 講座を受けたらあくまで産業カウンセラー試験の『受験資格』が得られるだけで、実際はさらに試験を受けて受かる必要がある
- 大学の研究者などのレベルでも産業カウンセラーの資格を持っている人はいる
(メインで公認心理士や臨床心理士を持つ人が多い)
と言う感じで養成講座こそあるものの内容から時間まで申し分ない点では産業カウンセラーは有用な資格と言えます。
お金や日程の条件を満たせればある意味誰でも取得はできますが、レベル感などを考えると数少ない例外ですね。
ただし産業カウンセラーの養成講座は、あくまで大学などで心理学を学んでない人向け、
大学や大学院で心理学を学ぶなど学歴面で条件を満たしている場合は、養成講座は受ける必要がなく既に産業カウンセラーの試験の受験資格はあります。
心理カウンセラー資格の良し悪しと課題
僕は2018年からHSPの発信をブログなどでしていますが当時はHSPの情報もそこまでなかったですし、ましてHSPカウンセラーなどカウンセラーの人もそこまで多くない印象でした。
それが2020年以降、HSPが知れ渡ってからはHSPの情報が増えたのはもちろんHSPカウンセラーを筆頭にカウンセラーを名乗る人やカウンセラー関連の資格が増えたようにも感じました。
心理学に詳しい知人によると、以前はカウンセラーというと臨床心理士、学校心理士、産業カウンセラー、精神保健福祉士くらいだったそう。
最近はカウンセリングに関する協会や団体が乱立して、その中で認可される資格が増えていると考えられます。
心理学をちゃんと学んだ人からすると、「何これ?」というレベルの資格も多いそうです。
良さげな資格は現段階では、
- 公認心理士(国家資格)
- 臨床心理士
- 産業カウンセラー
- 学校心理士
- 精神保健福祉士(国家資格)
あたり。(一応他にもありますが省略)
このほか大学や大学院卒など学歴が条件にあるような資格であれば大丈夫です。
逆に学歴が不問で通信教育でサクッと取れるレベルの場合、本来必要なレベルまで学びきれないのでどうしてもカウンセリングなど実力面に疑問が残ります。
昨今の資格商法って大学で4年以上かけて学ぶことを1日とか数日に集約するイメージですよね。
僕は大学で農業・園芸を専攻しましたが、大学の4年間で学んだ内容を数日程度学びきれるかと言われたら絶対無理です。
HSPやカウンセラーに限った話ではないですが、半端なレベルの資格は圧倒的に量や時間が足りないと感じます。
カウンセラーもいろんな種類がありますが、絶対に守るべきポイントとして、
- 守秘義務
- 多重関係
があります。
守秘義務は文字通り「カウンセリングの内容を口外しない」などいわゆる個人情報の話。
もしカウンセラーがSNSでカウンセリングややりとりの内容を発信していたらアウトです。
多重関係はカウンセラーならではで、
会員は、専門的業務においては、相手に危害をもたらすリスクの高い多重関係を、でき得る限
日本家族心理学会 倫理綱領10条
り避ける。多重関係とは、専門的業務のための契約に基づく関係と専門的業務以外の関係とが
重なる場合、例えば、カウンセラー – クライエント関係を持ちつつクライエントとの恋愛関
係になる場合、また、二種の専門的業務関係を持つ機会がある場合などである。
例えば、「カウンセラーとクライアントが恋愛関係になる」などカウンセリング以外でのつながりを持つことです。
これも私情が入ってカウンセリングの質が落ちるなどの理由で、職業倫理として心理系・カウンセリング系の資格において多重関係は禁止されています。
公認心理士など各資格ごとに『倫理綱領』などモラル、ルールを定めたものが存在します。
守らないと信用にも関わるので、資格取得を考えている方は必ずチェックしましょう。
心理カウンセラー資格を持つ人は、以下のような取り組みと課題があります。
- 学習と研鑽:心理カウンセラーとしての資格を取得には、心理学やカウンセリングの学習が必要です。
- 実践経験の積み重ね:実践経験の積み重ねが重要です。カウンセリングの実際の対応やケースワークの経験を通じて、スキルや洞察力を高める必要があります
- 倫理規範の遵守:倫理規範やプライバシー保護などを厳格に守る必要があります。
- スーパービジョンと継続的な学び:成長とスキルアップは、継続的な学びとスーパービジョンによって促進されます。他の専門家やスーパーバイザーとのコンサルテーションやフィードバックを受けながら、自身のカウンセリングスタイルやアプローチを洗練させることが大切です
スーパービジョンと継続的な学び: 心理カウンセラーとしての成長とスキルアップは、継続的な学びとスーパービジョンによって促進されます。他の専門家やスーパーバイザーとのコンサルテーションやフィードバックを受けながら、自身のカウンセリングスタイルやアプローチを洗練させることが大切です
「スーパービジョン」とは、どういうことをするのですか?|一般社団法人日本カウンセリング学会
特に倫理規範の中でも個人情報の取り扱いについては一部のカウンセラーはSNS上でカウンセリングの内容を発信しているのを見ることもあるので、その手のカウンセラーは要注意ですね。
HSPまわりの資格やカウンセラーについて
HSPに関わる範囲でもカウンセラーと呼ばれる人、自称している人はSNSなどでたくさん見かけます。
もちろんその中には公認心理士や臨床心理士などを持っている人もいますが、このようなちゃんとした資格を持ってるカウンセラーはほんの一握りです。
ほとんどのHSP系のカウンセラーは、
- HSPカウンセラー(HSP専門カウンセラー)
- HSPアドバイザー
- その他、HSP○○など、HSP専門○○など
などがほとんどです。
HSPカウンセラーなんかは一見『それっぽい』印象も持ちそうですが、実は学歴などは関係なくお金払って講座を受講すれば簡単に取得できちゃいます。
ちなみに今のところHSPに関する国家資格や公的な資格はありません。
対HSPの人でも基本的には公認心理士や臨床心理士などが対応することになります。
心理カウンセラーや資格というとそれっぽいけど注意も必要
- 心理カウンセラーは特定の資格名でなくカウンセラー関係の資格全体の総称みたいなもの
- そのためレベル関係なくカウンセラーの資格があったりカウンセラーっぽいことをしてれば心理カウンセラーと名乗れる
- 公認心理士や臨床心理士は大学や大学院で心理学を学んでいることが必須のため、レベルが高いし受験資格を得るだけでもハードルが高い
- 一方で通信教育、在宅でサクッととれるカウンセラー資格もある
- 心理学は非常に幅広い+奥が深く本来大学で数年かけて学ぶことを数日や1か月で学ぶには無理がある
今回の記事では『心理カウンセラー』という資格というか総称に注目してまとめました。
心理カウンセラーというとプロっぽい人にも思えそうですよね。
でも、必ずしもまともな資格やスキルを持ち合わせた人ではなく中途半端なレベルや無資格でも心理カウンセラーを名乗れてしまうのが現状です。
カウンセラーも相談者(クライアント)のメンタルに向き合うという点では、意外と影響力の大きい人だと考えられます。
だからこそ、心理カウンセラーを名乗る以上は適切かつレベルの高い資格やスキルの取得に努めてほしいなと思います。