著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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SNSで「HSPあるある」というのがあり日々いろんな人がいろんなHSPあるあるを挙げていますが、その中で前々からよく見かけると思うのが「ふとしたときに涙が出る」。
実際にアーロン博士のチェックリストでも「深く感動する」という項目もあるため完全に的外れな話ではないですが、実はふと涙が出るというのはストレスがものすごくかかっていたり、うつ病などの精神疾患を患っている時にも見られる特徴です。
HSPはふとした時に涙が出やすいと言われている
「HSPあるある」などを見ていると割と多くみられる事案の一つが
- 「HSPはふとしたときに涙が出やすい」
- 「泣きやすい」
といった文言。
HSPを提唱したアーロン博士のチェックリストでも「深く感動する」という項目があります。ただ、あくまで『感動』が前提になっているため「ふとしたとき」など何でもないときに涙が出る、泣くといった話はHSPの観点で考えると違和感を感じます。
某メンタルクリニックのHSP外来においても「お風呂にはいると泣いてしまう」などこの手の症状・特性を訴えてクリニックを利用したという口コミはいくつか見られました。
ふとしたときの涙はうつ病でも見られる
- 「最近急に涙もろくなった」
- 「ちょっとしたことですぐ涙が出てくる」
このような症状はうつ病が進行している事を示唆している可能性があります。
特に、泣く症状は女性に多く見られ、今までは泣かなかったような場面でも泣いてしまいます。
「最近なんだか涙もろい…」原因はうつ病の初期症状かもしれません | 社会医療法人 博友会社会医療法人 博友会
実は「涙が出る」は精神科・メンタルクリニックのHPなどを見ればすぐ出てきますが、典型的なうつ病の症状でもあります。
僕も昔ブラック企業に勤めて過労がピークだったころは、仕事中に突然涙が出たことがありました。元々一般の人と比べると泣くのは少ないタイプなので自分でもビックリしました。また知人でうつ病を経験した方がいますが、その方も同様にうつ病を患った頃に仕事中にふと涙が出たことがあったとのことでした。
HSPは治療の必要はないがうつ病は早急な治療が必要
誤解されている方が多いですがHSPは分野で言うと「心理学」の話です。医学の話ではないため、本来は「HSPを治す」「HSPの症状を軽減する」といった文言は不適切です。
一方でうつ病は精神疾患の一つで、早めに治療をしないと重症化したり治るのが遅くなるなどいろんなデメリットが出てくるため早急な発見、治療が必要です。
ちなみに一部のメンタルクリニック等では「HSP外来」などと称して「磁気刺激療法」(TMS治療、磁気治療等)という治療法を導入しているようです。
専門家もHSP関連の治療について以下のように注意喚起をしています。
あるクリニックでは、HSPであることによって生じるうつ症状を「HSPうつ」と名づけ、磁気刺激療法による治療を勧めています。しかし、まず前提として、心理学でも精神医学でも「HSPうつ」という概念/疾患は存在しません。それゆえ、「HSPうつ」なるものが磁気刺激療法で改善するというエビデンスも全くありません。いくつかの医療機関では、HSP/HSCを「診療」「改善」することを謳った宣伝をしています。しかし、これは明らかに医療機関側でHSP/HSCを適切に理解できていないことを意味しますのでご注意ください。
HSPの功罪 | 研究にもとづくHSP情報サイト
磁器刺激療法は本来うつ病の治療に用いられるもので、HSPに関してはほとんど意味がないです。病院はあくまでうつ病など病気やケガの診察や治療に行くところで「HSPだから」病院に行くのは本来あり得ません。
逆にいえば典型的なうつ病の症状であったり、生活に支障が出るレベルになるとHSP以上にもっと重大な問題があるので、HSP関係なしに病院に行って適切な診断や治療を受けましょう。
HSPに固執しすぎて精神疾患などもっと重大なことを見逃してはいけませんね。
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まとめ
- SNSでは「HSPの人はふとした時に涙が出る」など言われている
- 何でもないときに涙が出るのは実はうつ病の初期症状でもある
- HSPというだけで病院で診察、治療することは本来はあり得ない
HSPあるあるとして定番クラスである「ふとしたときに涙が出る」。でも実はうつ病などの精神疾患でもよく見られるだけに、「涙が出る=HSP」とはなってはいけません。
HSPに固執しすぎて精神疾患など重大なことを見逃さないようにしましょう。