著者:長池涼太:HSPの学び舎運営・HSP研究/エビデンスを発信するブロガー
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ここ最近様々なメディアでHSPも取り上げられるようになった印象で、良くも悪くもHSPのブーム?が来てる印象です。
その中で多くの方が目に触れるのが『HSPの診断テスト』。ネット上にもいくつかありますが見てて、
- HSPの診断テストっていろいろあるけどどれを受ければいい?
- どれくらい診断できるの?
- そもそもどれくらい精度が高いの?(信用できるの?)
といったことを最近は感じました。各HSP診断テストを調べました。
一番有名なHSP診断テスト
おそらくHSPを知っている方なら一度は目に下のことのあるあのHSP診断テスト。
涼しく生きるのYouTubeチャンネルでも検証しました。
誰もが知るあのHSP診断テスト
おそらく「HSPの診断をしよう!」と思ったときに、多くの人がたどり着くのがこの「HSP診断テスト」というサイトかと思います。各SNSで使った人が発信してたり、検索でも上位に出てきます。
実際アクセス数を調べてみたら月に100万以上のアクセスがあるそうです。(シミラーウェブ調べ)
僕も2018年にHSPを知ったときに、このサイトのテストを受けました。Twitterなどを見てもわかりますが、HSPに関わる人のほとんどは一度は目にするサイトですよね。
HSP診断テストにエビデンスはない?
そんなHSP診断テストですが、HSPを研究している飯村さんによるとサイト内容や質問内容に関してエビデンスはない(怪しい)とのこと。僕も色々調べてみましたが、このサイトを作ったのはWebエンジニアの方だそうです。
coconala(ココナラ)で活動されている人だそうで、サイトの運営者もこの人のようです。あまり素性のわからない方ですが、少なくともHSPの研究をされているとか活動をされているなど、HSPに詳しい人ではないです。エンジニアだけあって、ブロガーの僕から見てもサイトはよく作られているなと思います。
チェックテストの質問の数が多いけど、途中離脱しないように工夫もしているとか。HSP診断テストはおそらくビギナー向けなサイトなので、
- サイトの使いやすさ
- 質問のわかりやすさ
- 結果のわかりやすさ
だけを見れば他の診断テストよりもかなり良いです。ただし内容そのものがHSPに関して全て正しいとも言い切れないので、その辺は分かったうえでこのサイトを使っていただければと思います。あくまで入り口の立ち位置ですね。
ちなみにサイトの内容、質問の内容は本(鈍感な世界に生きる 敏感な人たち)の引用という説。
イルセ・サンについては心理療法士ではありますが、HSPの専門家ではありません。余談ですが、HSP診断テストのサイトのトップページの下に、HSPの本の画像リンクがあります。
それぞれの本をクリック・タップすると、楽天の商品ページに飛んで本を購入することも可能です。本を購入すると、購入額の数%がサイト運営者に入る仕組みになってます。いわゆる物販アフィリエイトってやつですね。
正確には分かりませんが、アクセス数が100万前後なのを考えると、物販アフィリエイトで少なくとも数万円は稼いでる可能性もあります。
商売上手ですよね(褒めてない。)
The Highly Sensitive Person
アーロン博士の話がベース
英語版と日本語版のサイトがあり、英語版はアーロン博士、日本語版は通訳案内士の久保言史さんがサイトを作成・運営しています。どちらもアーロン博士の話がベースにはなっているので、信ぴょう性はそれなりにあるのかなという印象です。
久保さんについては通訳や翻訳、観光に関することが専門なようで、HSPなど心理学に関しては専門外のようです。
僕が調べた限り、心理学やHSPに関わる活動はしてないようです。
HSPのセルフテストもあり、これもアーロン博士がおおもとなのでテスト自体の信ぴょう性は悪くないかと思います。
↓出典
ただしアーロン博士は最近の研究では名前が挙がらない印象なので、アーロン博士の研究は古くなりつつあるのかなとも感じてます。「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ」も2008年に出版されたものですからね。HSPの最新情報を知りたい場合は、微妙かもしれません。
HSPの研究者はアーロン博士だけではない
僕もそうでしたがほとんどのHSPの書籍やYouTubeでは「HSP=アーロン博士」という形で発信をしています。HSPを提唱したのがアーロン博士であるのは事実なので、HSPの第一人者といえば確かにそうです。でも、HSPの研究者はアーロン博士だけではありません。僕が知っている人で言うと
- 飯村周平さん(創価大学教育学部講師。『HSPの心理学』『HSPブームの功罪を問う』著者)
- 岐部智恵子さん(お茶の水女子大学基幹研究院研究員)
- 串崎真志さん(関西大学文学部教授。『繊細な心の科学』著者)
- マイケル・プルース(MICHAEL PLUESS。ロンドンのクイーンメアリー大学)
- ジェイ・ベルスキー(JAY BELSKY。カリフォルニア大学デービス校)
など他では海外が多いですが、アーロン博士以外にもHSPの研究者はいます。
特に飯村周平さんはTwitterでも発信をされているため、だれでも気軽にHSPの発信を見ることができます。
HSPの研究の話って表に出ないものが多いため勉強になります。
僕のHSPの発信も飯村さんを参考にしています。
アーロン博士一人でHSPの全てをカバーできているわけでもないので、海外もそうですし日本国内のHSPの研究者にももっと目を向けてほしいです。HSPの研究者については、次に紹介する「Sensitivity research.com」のサイト内でも一覧になってますので、ぜひご参考に。
大学の研究者が著者の本は信頼できますね。
Sensitivity research.com。海外のHSP研究者が運営
サイト内容は研究をもとにしたもの
「Sensitivity research.com」はHSP診断テストやThe Sensitive Personと違ってサイトがオープンしてからは日が浅いですが、サイトの作成者・運営者がHSPを研究しているプルース博士たちなので、学術的な面での内容の信ぴょう性も格段に高いです。
HSPに関するブログ記事からHSPのチェックテスト(研究に基づくもの)まであります。そのチェックテストも、
- 大人向け
- 子ども向け
とそれぞれに応じたものがあります。
シンプルに質の高さで言えば、このサイトが一番かなと思います。
診断の結果自体は高、中、低で表されるのでわかりやすいです。HSPのような感受性の高い人を「ラン」、逆に感受性の低い人を「タンポポ」と花を使って表現しているのも面白いです。研究をベースにしてるだけあって、HSPの診断テスト・チェックリストとしてかなり精度の高いものと言えますね。
ランは生育するために土のpHや気温の条件が厳密で厳しいため育てるのが難しいから。
タンポポはアスファルトの割れ目でも生育できたりと環境関係なく育つから。
環境に左右されやすい点はランはHSPっぽさがありますね。
少し難しいかも
サイト自体が全て英語なので和訳する必要があります。Google Chromeで閲覧する場合は自動的に和訳もされるので日本語での閲覧も一応可能ですが、少し日本語がいびつな場合もあり、他のHSP診断サイトと比べるとサイトに書いてあることの理解が難しい場合もあります。
僕も大学生のときは、農学部で様々な海外の論文も見ましたが、論文や専門領域ならではの英語ですからね。
Deep Lという翻訳アプリもあるので、そういったものを使うのも手です。
Japan Sensitivity Research
日本のHSP研究者が作成・運営
「Japan Sensitivity Research」2020年11月に東京大学(2022年4月より創価大学講師)でHSPの研究をされている飯村周平さんが作成したサイトです。基本的な内容は先述の「Sensitivity Research.com」の日本語版みたいなもので、日本ではHSPの研究(エビデンス)に関わる唯一のサイトです。
最近はSNSはもちろん、テレビでもHSPが取り上げられる機会も増えてきましたが、同時にHSPについて質の悪い・間違った情報も飛び交っています。
- HSPは魂のレベルが高い
- ○○型HSP(このような分類に根拠はない。HSS,HSEも含めて)
- HSPは脳の炎症によるもの
- HSPうつ(そのような概念はない)
これらを信じてより悪い方向に行っては元も子もないです。そういう意味で研究者が関わる質の高いサイトが必要になります。
少し難しいが海外論文よりはとっつきやすい
Sensitivity Research.comと同じく研究の話がメインになるため、繊細さんなど一般向けの書籍よりは難しい話が多いです。とはいえ、一般向けの書籍ではおおもとの研究からかけ離れた内容もあるので、エビデンスに沿った、正しい情報が得られる保証はありません。
例えば「繊細さんの本」はあくまでカウンセラー(無資格と本人が公言)が書いてるものですし、ある程度研究に詳しい人からするとエビデンスから外れてる話も多々あります。
もちろん、HSPに関して知識がゼロの状態で取っ掛かりとしては良いですが。
その点では、HSPのおおもとの研究に触れることができますし、海外の研究論文の解説もしたりと一般の人でもある程度は読めるくらいになっています。個人的にも今まではHSPの情報を発信するときに、参照元の選定にはかなり苦労しましたが「Japan Sensitivity Research」ができたことで、信用できる参照元ができたと思います。
論文の良し悪しもあるとのことですが、少なくともJapan Sensitivity Researchで扱っている論文は精度の高いものばかりです。
(一部の)HSP発信、カウンセラー等が独自に作ったチェックテスト
自分のデータで独自に作ったHSP診断テストがある
ネット上を探すといろんなHSP診断テストやチェックリストが出てきます。その多くはカウンセラーやアドバイザーを自称する人が作っており、各自のカウンセリングなどの活動から得た知見をもとに独自に作られています。
ここでいうカウンセラーは臨床心理士や公認心理士などのちゃんとした資格でなく、通信でサクッととれる程度の資格です。
画像についてもいわゆるHSPにおける『インフルエンサー』でその人が独自に作っているようです。
独自の診断テストはリスキーな面もある
とはいえ、現状HSPの公式の情報は学会や論文などに一部に限られています。そのため画像のような独自のHSP診断テストのクオリティも疑わしいです。
そもそもHSPに限らずちゃんとした診断テストやチェックリストを作ろうとするといわゆる『統計学』の手法が必須になります。
加えて心理学独自のデータの出し方も。
でも、この手のサイトの診断テストは単純な作りなことがほとんどのため意外と適当だったりします。
また、根本の問題が精神疾患などHSPとは違う話の場合もあります。まして、「実は発達障害でした」となるとこの手の診断テストによって、適切なアプローチや治療が妨げられたりたどり着けないことも考えられます。
例えば発達障害の場合は治療や症状を和らげるために『薬』が必要になる場合があります。しかしHSPでは薬を使うことはありません。HSPと発達障害でも違いがあるので、安易な診断テストやチェックリストは良くないのです。
HSPの診断テストやチェックリストが研究論文やアーロン博士のサイトを引用しているものであれば問題ないです。やってる人ほとんどいませんが(笑)
ちなみに僕が勉強会などでHSPの診断テストなどに触れるときは、必ず研究論文かアーロン博士のサイトを引用しています。
HSPの診断サイトはよく考えて使おう
- HSP診断テスト。一番メジャーなサイトで言葉がわかりやすいのでとっつきやすい。一方でサイトや質問の内容に根拠がない部分もあるので、HSPの研究者から見ると微妙。個人的にオススメはしないです。
- The Highly Sensitive Person。アーロン博士の研究がベースになっているためHSP診断テストよりはエビデンスに沿っている。ただし、最近はアーロン博士以外にもHSPの研究をされている方もいる。そのためアーロン博士一辺倒なのも良くない。
- Sensitivity research.com。HSPを研究しているマイケル・プルース博士など複数のHSPの研究者によって運営されているので、現状学術的には一番信用できるといっても良いかも。ただし専門用語なども多めで、しかも英語なので専門家以外の人がサイトの内容をすべて理解するのは難しい。
- Japan Sensitivity Research。東大でHSPを研究してる飯村周平さんが作成・運営。研究に沿うため内容は少し難しめだが、論文解説もあったり、出回っているHSPの情報の何が間違っているか、正しいHSPをしっかりと解説している
- HSPの発信者、カウンセラー等のサイトにある診断テスト・チェックリスト。運営者が独自に作ったものがほとんど。統計学などHSPの診断テストやチェックリストを作るのに必要な手法が使われてないので質としては最悪。基本的に使うのはオススメしません。例外として研究論文やアーロン博士のサイトを引用しているものはOKです。
あくまで僕個人の見解ですが、世の中に出回っているHSP関係のサイトを比べてみました。
個人的にはエビデンスを重視したいので、「Sensitivity research.com」と「Japan Sensitivity Research」を推したいところですが、HSPを知ったばかりの人にとってはハードルが高いとも感じます。まして精神的に余裕がない人だなおさらですよね。
ただし何も考えずに、HSP診断テストだけをうけて「HSPなのか!」「HSPじゃないのか」と一喜一憂するのも考えもの。
一個人の意見として提案するとすれば、
- とりあえず一通り目を通したりチェックテストを受けるだけ受けてみる(真に受けすぎない程度に)
- アーロン博士以外の研究者にも目を向ける。可能なら「Google Scholar」などで論文に目を通す。(Google検索と同じ要領で論文の検索ができます)
- 発達障害や鬱などが由来する体調不良を抱えている場合はまずはそちらの対処を優先する。(HSP単体で病院に行くことはない)
ってところですね。HSPの診断に関して、ただ鵜呑みにするではなく自分で考えたり情報の取捨選択もできると、より正確で有益な情報も手に入りやすいです。テレビや大手メディアサイトだと、本来とは違う方向にHSPが発信されていることも多々ありますからね。
僕もHSPの専門家(研究者)ではないのであまり偉そうなことは言えませんが、この記事を見たあなたにHSPの正確で有益な情報が届けばと思います。